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蜻蛉日記原文全集「十日、賀茂へまうづ」

著者名: 古典愛好家
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蜻蛉日記

十日、賀茂へまうづ

十日、賀茂へまうづ。

「しのびてもろともに」


といふ人あれば、

「なにかは」


とてまうでたり。いつもめづらしき心ちするところなれば、今日も心のばはる心ちす。田かへしなどするも、かうしひけるはとみゆ。紫野どほり北野にものすれば、沢にものつむをむな、わらはべなどもあり。うちつけに、ゑぐつむかとおもへば、裳すそおもひやられけり。船岡うちめぐりなどするも、いとをかし。くらう家にかへりて、うちねたるほどに、門いちはやくたたく。胸うちつぶれてさめたれば、おもひのほかにさなりけり。心の鬼は、もし、ここ近きところにさはりありて、かへされてにやあらんとおもふに、人はさりげなけれど、うちとけずこそおもひあかしけれ。つとめて、すこし日たけてかへる。さて、五六日許(ばかり)あり


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・蜻蛉日記原文全集「十日、賀茂へまうづ」

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The University of Virginia Library Electronic Text Center and the University of Pittsburgh East Asian Library http://etext.lib.virginia.edu/japanese/
長谷川 政春,伊藤 博,今西 裕一郎,吉岡 曠 1989年「新日本古典文学大系 土佐日記 蜻蛉日記 紫式部日記 更級日記」岩波書店

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