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枕草子 原文全集「三条の宮におはしますころ」

著者名: 古典愛好家
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三条の宮におはしますころ

三条の宮におはしますころ、五日の菖蒲(さうぶ)の輿などもてまゐり、薬玉まゐらせなどす。若き人々、御匣殿(みくしげどの)など、薬玉して姫宮、若宮につけたてまつらせ給ふ。いとをかしき薬玉ども、ほかよりまゐらせたるに、青ざしといふ物を持て来たるを、あをき薄様を、艶なる硯の蓋にしきて、

「これ、ませ越しにさぶらふ」


とてまゐらせたれば、

みな人の花や蝶やといそぐ日もわが心をば君ぞ知りける

この紙の端をひきやらせ給ひてかかせ給へる、いとめでたし。
                 
                
  
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・枕草子 原文全集「三条の宮におはしますころ」

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渡辺実 1991年「新日本古典文学大系 枕草子・方丈記」岩波書店
松尾聰,永井和子 1989年「完訳 日本の古典 枕草子」小学館
萩谷朴 1977年「新潮日本古典集成 枕草子 下」 新潮社

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