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枕草子 原文全集「春はあけぼの」

著者名: 古典愛好家
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春はあけぼの

春は曙

春は曙、やうやう白くなりゆく山際すこしあかりて、紫だちたる雲の細くたなびきたる。

夏は夜

夏は夜、月の頃はさらなり、闇もなほ螢飛びちがひたる、雨などの降るさへをかし。

秋は夕暮

秋は夕暮、夕日はなやかにさして、山の端(は)いと近くなりたるに、烏のねどころへ行くとて、三つ四つ二つなど飛びゆくさへあはれなり。まいて雁などのつらねたるが、いとちひさく見ゆる、いとをかし。日入りはてて、風の音、蟲の音など、いとあはれなり。

冬はつとめて

冬はつとめて。雪の降りたるは、いふべきにもあらず。霜などのいと白きも、またさらでもいと寒きに、火など急ぎおこして、炭持てわたるも、いとつきづきし。昼になりて、ぬるくゆるびもていけば、炭櫃(すびつ)・火桶の火も、白き灰がちになりぬるはわろし。
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・枕草子 原文全集「春はあけぼの」

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松尾聰,永井和子 1989年「完訳 日本の古典 枕草子」小学館
渡辺実 1991年「新日本古典文学大系 枕草子・方丈記」岩波書店
萩谷朴 1977年「新潮日本古典集成 枕草子 上」 新潮社

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