はじめに
このテキストでは、
新古今和歌集に収録されている歌「
春の夜の夢の浮橋とだえして峰に別るる横雲の空」の原文、現代語訳、品詞分解そしてその解説を記しています。歌の詠み手は藤原定家です。
※古今和歌集(こきんわかしゅう)は、平安時代前期の勅撰和歌集(ちょくせんわかしゅう)です。勅撰和歌集とは、天皇や上皇の命令により編集された和歌集のことです。
原文
春の夜の夢の浮橋とだえして峰に別るる横雲の空
ひらがなでの読み方
はるのよの ゆめのうきはし とだえして みねにわかるる よこぐものそら
現代語訳
春の夜の、浮橋のようなはかなく短い夢から目が覚めたとき、山の峰に吹き付けられた横雲が、左右に別れて明け方の空に流れてゆくことだよ。
単語・解説
とだえ | 橋の縁語 |
浮橋 | いかだや船を浮かべ、その上に板を渡して作った橋。夢のはかなさを例えている |
※この句は
三句切れで、体言止め、そして縁語の技法が用いられています。
品詞分解
※名詞は省略しています。
春 | ー |
の | 格助詞 |
夜 | ー |
の | 格助詞 |
夢 | ー |
の | 格助詞 |
浮橋 | ー |
とだえ | ー |
し | サ行変格活用「す」の連用形 |
て | 接続助詞 |
峰 | ー |
に | 格助詞 |
別るる | ラ行下二段活用・連体形 |
横雲 | ー |
の | 格助詞 |
空 | ー |