はじめに
このテキストでは、
古今和歌集で詠まれている「
雪降れば木ごとに花ぞ咲きにける いづれを梅とわきて折らまし」という歌について説明していきます。
原文
雪降れば
木梅に花
ぞ咲きにける いづれを梅とわきて
折らまし
現代語訳
雪が降って、木に白い花が咲いたように見える。木梅(きごと)と書くと梅という時になるが、どの木を本当の梅の木と区別して折ったらよいだろうか
解説・鑑賞のしかた
この歌は、
紀友則(紀貫之のいとこ)によって詠まれたものです。
「木梅(きごと)」と書いて、梅の木と結び付けたおもしろいう発想をしています。庭の木のほとんどに雪が積もっていて、どれがどの木だかわかならい。ましてや梅の花は白いので、雪の白さで、どの木が梅の木なのかがわからない、という冬の一コマを詠んだものです。
単語
木梅に | どの木にも |
折らまし | 「折ったらよいのだろう」とためらいの意志で訳す |
ぞ-ける | 係り結びの法則 |
品詞分解
※名詞は省略してあります。
雪
降れ(ラ行変格活用・已然形)
ば(正族助詞)
木梅
に(格助詞)
花
ぞ(カ行四段活用・連用形)
咲き(カ行四段活用・連用形)
に(完了を表す助動詞・連用形)
ける(詠嘆を表す助動詞・連体形)
いづれ
を(格助詞)
梅
と(格助詞)
分き(カ行四段活用・連用形))
て(接続助詞)
折ら(ラ行四段活用・未然形)
まし(意志を表す助動詞・連体形)