酸性と塩基性
中学生のときに、リトマス紙を使って、酸性であるかアルカリ性であるかをチェックした経験をお持ちの方も多いかと思います。
高校化学では、
アルカリ性のことを塩基性と表現します。
あとは、中学理科のときと同じ考え方をしてもらってかまいません。
酸性
塩酸や酢酸などの水溶液は、
・酸味を示す(※塩酸は飲めません)
・金属と反応して水素を発生する
・リトマス紙を赤色に変える
といった共通の性質を示します。
これらの性質を持つものを
酸性といい、酸性を示す物質を
酸といいます。
塩基性
一方で水酸化ナトリウムやアンモニアなどの水溶液は
・苦い味がする
・リトマス紙を青に変える
・酸と反応して酸性を打ち消す
といった性質を示します。
このような性質を持つものを
塩基性といい、塩基性を示す物質を
塩基といいます。
中性
水や塩化ナトリウム水溶液(食塩水)のように酸性も塩基性も示さないものを
中性といいます。
酸と塩基の定義
酸と塩基には、2つの定義の仕方があります。それぞれ見ていきましょう。
酸と塩基の定義(アレーニウス)
スウェーデンの科学者アレーニウスは、酸と塩基を次のように定義しました。
■酸とは(アレーニウス)
酸とは、水溶液中で電離し水素イオン

を生成するもの。
塩酸や硫酸は、水溶液中で次のようにイオンに電離しています。
本来であれば、生成された水素イオンは、水溶液中で

と結合して

(
オキソニウムイオン)と呼ばれる形で存在をしています。つまり厳密には
と表示されなけれはならないのですが、水溶液に溶けていることは明らかなので、略して

と表記するのが一般的です。
■塩基(アレーニウス)
塩基とは、水溶液中で電離し、水酸化物イオンOH-を生成するもの。
水酸化ナトリウムやアンモニアは、水溶液中次のように電離しています。
アンモニアの場合、一部が水と反応してOH-を生成します。
この場合は酸のときとは違って、アンモニアを水に溶かしたという式を省略してしまうとよくわからないので、きちんと

と表記します。
ここでは式を覚えるのではなく、
酸とは何なのか?塩基とは何なのか?の理解に徹底しましょう。
酸と塩基の定義(ブレンステッド)
続いてもう1つの定義です。
アレニウスの定義では、酸と塩基の定義は水溶液の場合のみでなされていました。そこでデンマークの科学者ブレンステッドは
水以外の溶媒中でも適用できるように、次のように酸と塩基を定義したのです。
酸とは水素イオンH+を反応する相手に与えるものであり、塩基とは水素イオンH+を反応する 相手から得るものである。
アンモニアが水中で電離したときの様子をみてみましょう。
このとき、

は、

を受け取って

となり、

は

を放出して

となっています。
これがブレンステッドの定義です。
まとめ
この分野は、化学反応式や熱化学方程式とはまた違った反応式を扱います。
今まで学習したことはとりあえずおいておいて、新しいことを覚える学習に専念しましょう。