はじめに
熱化学方程式を見ていく中で、
ヘスの法則というものがあります。この分野での計算問題を解く時に非常によくでてくるところですので、しっかりと抑えましょう。
ヘスの法則
ヘスの法則は、化学的には次のように定められています。。
反応熱は、反応の経路によらず、反応の始めの状態と終わりの状態で決まる。
いまいちピンときませんね。もう少し噛み砕いて説明しましょう。
Aという物質を化学変化させてBという物質を生成したとします。このとき発生する熱量は10kjです。次にこのBを化学変化させてCという物質を生成したとします。このとき発生する熱量は20kjです。
ここで、AからBを経ずにCという物質を生成する方法があったとしましょう。つまりA→Cという化学変化です。このとき発生する熱量は、A→B→Cと
2段階で化学変化させたときに発生する熱量の合計に等しくなります。これが
ヘスの法則です。
実例
では実際に炭素を化学変化させて二酸化炭素を生成するという例でみてみましょう。
■炭素から二酸化炭素を生成する。
炭素を完全燃焼させることで炭素から二酸化炭素を生成することができます。
この時の燃焼熱は394kj/molです。これの熱化学方程式を描くと
 %2B O _{2} = CO _{2} \left(g\right) %2B394kj)
…①
■炭素から一酸化炭素を生成し、一酸化炭素から二酸化炭素を生成する。
炭素から一酸化炭素を生成し、さらにその一酸化炭素から二酸化炭素を生成するという少し遠回りな化学変化ですが、これの熱化学方程式を書いてみましょう。ちなみにそれぞれの発生熱は111kj/mol、283kj/molとします。
 %2B \frac{1}{2} O _{2} = CO \left(g\right) %2B111kj)
…②
 %2B \frac{1}{2} O _{2} = CO _{2} \left(g\right) %2B283kj)
…③
②と③を足しあわせてみましょう。するとどうでしょうか。
なんと①と全く同じ式になりますね。
このことから、
炭素から二酸化炭素を生成するときに、どのような変化を通っても結局発生する熱量は同じという事です。
最後に
今の例を図に表してみました。
この図を思い浮かべると、ヘスの法則は簡単に理解できると思います。