反応熱の種類
物質の生成の過程で、放出されたり吸収されたりする熱のことを反応熱と言います。ここではその種類について説明しましょう。
燃焼熱
ある反応物1molが、燃焼する際に発生する熱
物質1molが完全燃焼するときに発生する反応熱を
燃焼熱といいます。
燃焼とは、酸素と反応をするということです。
C(黒鉛)+
O2(気)=
CO2+
394kj
これは黒鉛を燃焼させたときの熱化学方程式です。
燃焼するときは必ずO2と合わせること、これが肝です。
中和熱
中和反応によって、水1molが生成される際に発生する熱
中和反応とは、
酸と塩基が反応をしてそれぞれの性質を打ち消す反応のことです。
例えば、塩酸と水酸化ナトリウム水溶液との反応では
HCl(
aq)+
NaOH(
aq)=
NaCl(
aq)+
H2O(
l)+
56.5kj
※(aq)とは(水溶液)のことです。
■ちなみに
一般的に、希薄な強酸と希薄な強塩基の中和熱は、酸や塩基の種類にかかわらずほぼ一定で、その値は56.5kj/molです。
溶解熱
ある物質1molを多量の溶媒に溶かしたときに発生または吸収する熱
塩化ナトリウムを水に溶かして塩化ナトリウム水溶液を作る時
NaCl+
aq=
NaCl(
aq)-
3.88kj
※+aqとは、多量の水に溶解するということです。
生成熱
単体からある化合物1molが生成される際に発生または吸収する熱
HとOから水が生成される場合の熱化学反応式は
H2(g)+
1/2・O2(g)=
H2O(
aq)+
286kj
※(g)とは(気体)のことです。
※H2Oの係数を1molにすることが肝です。
蒸発熱
ある液体が気体になるときに吸収される熱
水が蒸発して水蒸気になったときの式を見てみましょう。
H2O(
aq)=
H2O(g)-
44kj
※(aq)は液体のこと。(g)は気体であることを示します。
説明文からみてわかるとおり、燃焼熱、中和熱においてはは常に熱が発生します。また、溶解熱、生成熱では熱が発生したり吸収されたりし、そして蒸発熱では常に熱を吸収します。
また、この他にも昇華熱や凝縮熱など様々な反応熱がありますが、高校レベルではここに記載したようなことをおさえておけば大丈夫でしょう。