はじめに
夏目漱石は明治から大正時代にかけて活躍した小説家です。
坊ちゃんや
吾輩は猫であるといった作品をご存じの方も多いでしょう。
ここでは、夏目漱石のおもな作品とちょっとしたあらすじをまとめています。
坊ちゃん
主人公の
坊っちゃんは、「
親譲りの無鉄砲で子供の頃から損ばかりしている」まがったことが大嫌いな性格の持ち主です。
大学を卒業したあとに教師として母校に戻ります。しかし教師生活は順調とはいかずに・・・
いたずらをしてくる生徒や、問題をうやむやにして事なかれ主義をとろうとするいけすかない教頭とのやりとりを描いた作品です。
吾輩は猫である
「
吾輩(わがはい)は猫である。名前はまだ無い。どこで生れたかとんと見当がつかぬ。」
という書き出しで始まるこの小説は、生まれて間もなく捨てられた名もない猫(吾輩)が、珍野苦沙弥(ちんのくしゃみ)の家に落ち着き、
猫(吾輩)の視点から人間模様をおもしろおかしく観察した手記です。
三四郎
熊本から東京大学に入学するために上京する途中だった主人公の
三四郎は、旅の途中で東京大学の
広田先生、そして物語のヒロインである里見美禰子(さとみみねこ)と出会います。その後東京で運面的な出会いをした彼らを中心に物語が進みます。
自分の常識とはまったく異なる東京を目の前にとまどう三四郎が、さまざまな人と出会い成長してく様を描いた作品です。
こころ
主人公の「私」は、鎌倉を旅行していたときに「先生」と出会います。
この先生には、何年もの間、ずっと悩み続けていることがありました。
その昔、先生と友人Kは同じ女性のことが好きでした。はじめに女性のことが好きだと相談してきたのは友人のKです。しかし先生もまたその女性のことが好きだったので、「お前にはむいていない」といって友人Kの心をそいでしまいます。しかしその間に、なんと先生はその女性と結婚をしてしまうのです。友人Kはそれを知ってショックを受けて自殺していまいます。
先生は、友人よりも恋人をとったことで友人Kを自殺させてしまったのではないかという思いにずっと悩まされていたのです。
結局先生は、自分の秘密を「私」にだけ手紙で打ち明け、自殺をしてしまいます。
先生は、
奥さんには何も知らないまま生きていてほしいと願う一方で、誰かには自分が自殺する理由を知ってほしいと思い、「私」に手紙をよこしたのでしょう。