夏目漱石そのペンネームの由来とは
夏目漱石は大正時代に活躍した作家で、
坊ちゃんや
三四郎、
吾輩は猫であるなどの作品で知られています。
1867年2月9日に東京の牛込で誕生し、彼は教師、小説家、評論家、英文学者、そして俳人として知られています。彼の本名は夏目金之助であり、彼の幼少期は不安定な生活を送り、里子に出されたり、学校を転々としたりしました。彼は大学予備門予科に入学し、その後帝国大学英文科を卒業し、愛媛県や熊本県で教師として働きました。1900年から1902年までイギリスで留学し、その後は東京帝国大学で英文学を教えました。
1905年に彼は処女作『吾輩は猫である』を発表し、これによって作家としての名声を得ました1。その後も『坊つちやん』『草枕』『三四郎』『それから』『門』『こゝろ』『明暗』など、数々の名作を次々と生み出し、彼は明治時代の文豪として日本の近代文学に大きな影響を与えました。1916年12月9日に彼は胃潰瘍の再発により亡くなりました。
夏目漱石の作品は、現代的な書き言葉を用いており、知識人の自己中心や個人主義、そして日本の近代化といったテーマを探求していました。彼の作品には自伝的な要素やユーモア、そして皮肉も多く含まれています。漱石は自身を「私の個人主義」という講演で表現しましたが、彼の信条は神や運命に頼らず、自身の意志を信じることでした。彼は水彩画や水墨画、漢詩や俳句などの趣味も楽しんでいました。
多くの作品を残し、教科書にも載っていることから、みなさんも夏目漱石の作品を読んだことがあるのではないでしょうか。
さて、この
夏目漱石という名前ですが、実はペンネームです。本名は夏目金之助と言います。ペンネームとは、作家が本を書くときに使う偽名のことですね。
今回は、「漱石」という名前がどこからきたのかについて説明しましょう。
枕石漱水
中国の故事に、
枕石漱水という詩があります。「
流れに漱(くちすす)ぎ石に枕す」と読み、「
俗世間から離れて、川の流れで口をすすいで石を枕として眠るような引退生活を送りたい」という意味です。
漱石枕流
中国が晋の時代の孫楚(そんそ)という人が、友人に「もう隠居したいんだ」という気持ちを伝えるために、この詩を使って話をしました。しかしなぜか順番を間違えて「
漱石枕流」と言ってしまったのです。
これだと、「
石で口をすすいで、川の流れを枕として生活をしたい」という意味になってしまいますね。これを聞いた友人はすかさずつっこみます。
「おいおい、石で口をすすいで川の流れを枕にするだなんてどんな隠居生活だよ」と。
つっこまれた孫楚(そんそ)は「まちがえたー。。。」とは言わずに意地を見せます。
「石で口をそそぐのは、歯を磨くため。川の流れを枕にするのは水で耳の中を洗うためだよ」と。
つまり負け惜しみを言ったんですね。漱石枕流には
負け惜しみ、
頑固者という意味があります。自分のことを変わり者と思っていた漱石は、これをペンネームにしたと言われています。
夏目漱石に関するその他のテキスト
夏目漱石『こころ』の要約
世説新語『漱石枕流』書き下し文・現代語訳(口語訳)と解説
夏目漱石『題自画(唐詩読罷倚闌干〜)』書き下し文・現代語訳と解説
夏目漱石のおもな小説のまとめ
【明治期の学問・諸芸術の発展、ジャーナリズムの発達、生活の近代化と伝染病】
夏目漱石のおもな小説のあらすじまとめ(坊ちゃん・吾輩は猫である・三四郎・こころ)