夏目漱石『題自画』
ここでは夏目漱石が詠んだ漢詩『題自画(唐詩読罷倚闌干〜)』の書き下し文、現代語訳(口語訳)とその解説を行っています。
白文(原文)
唐 詩 読 罷 倚 闌 干
午 院 沈 沈 緑 意 寒
借 問 春 風 何 処 有
石 前 幽 竹 石 間 蘭
書き下し文
唐詩読み罷(や)めて 闌干(らんかん)に倚(よ)る
午院沈沈として 緑意寒し
借問(しゃもん)す 春風何れの処(ところ)にか有ると
石前の幽竹 石間の蘭
現代語訳
唐詩を読むのをやめて、窓の手すりにもたれる。
昼下がりの庭は静まり返って、緑の木々は寒々としている。
春風はどこに行ったのかと自問する。
庭石の傍らにある竹がそよぎ、蘭がゆれている(そこに来ていたのだ)。
形式
この漢詩は七つに並んだ漢字が四つの行からなる、七言絶句というスタイルをとっています。次の三つの語句が韻を踏んでいます。(押韻という)
・「干(カン)」
・「寒(カン)」
・「蘭(ラン)」