前回の続き
前回は、ホッブスの唱えた社会契約説に、ロックが抵抗権と革命権を付け加えた新しい社会契約説を提唱したと説明しました。
ロックはそのためには議会制民主主義を採用することがベストな手段であると考えていたことも併せて復習しておきましょう。
今回はその3回目、ルソーについてみていきます。
ルソー
ルソーは、18世紀フランスの思想家です。ルソーの思想は以下のとおりです。
そもそも人間は平和な状態で生まれてきている。しかしながら、文明によって貧富やねたみ・虚栄心が人々の心に植え付けられてしまったがために社会的な不平等が起こっていると考え、自由で平等な世界に戻るためには自然に回帰するしかないと主張しました。
彼の名言である「
自然に帰れ」とは、山に帰れ、野に帰れという意味ではなく、人間が本来持っていた平和な心への回帰を訴えている言葉なのです。
ちなみに、もともと人間がもっている、つねに社会全体の平和と平等を目指そうとする意思のことを
一般意志と言い、一方で個人的な欲求を満たそうとする意思のことを
特殊意思と言います。
直接民主主義
ルソーは、社会全体の幸福を目指そうとする一般意志は、他者に代弁することはできないと考え、選挙で選ばれた代表が政治を行う議会制民主主義に反対し、
直接民主主義を唱えました。
当時イギリスでは代議制を採用していましたが、ルソーはこれに関して、「イギリスでは選挙までは自由だが、選挙が終わってしまえば有権者は政治家の言いなりになるにすぎない。(ルソーは、奴隷にすぎないと言いましたが)」と言って厳しく批判しました。
フランスとイギリスの犬猿の仲、こんな時代から始まっているんですね。