王権神授説によって正当化された
絶対王政に対して、人々は新しい視点から社会の在り方を考えるようになりました。
それまで、思想や文化においてこの考え方は進んでいましたが、ついに政治や社会の在り方にまで個人・思想の尊重を訴える動きがでてきたのです。
自然法
国際法の父と呼ばれる
グロティウスは、人間には、
民族や時代に関係なくすべての人間に通用する普遍的な法律が存在するという
自然法の考えをもたらしました。つまり生まれた身分や育った文化によらない、すべての人間に通ずる法律です。
グロティウスは、この自然方に基づいて国家を統治すべきだと説きました。
フーゴー・グローティウス
この自然法の流れにのって、
社会契約説が誕生しました。
社会契約説とは、国家や社会の成立を個人の自由意志に基づく相互契約におく思想のことです。わかりやすく言えば、国家は、自由で平等な個人が自らの意思で、国家を形成する一員となるという契約をしたことによって成り立っているということです。
この社会契約説を唱えたのが
ホッブス、
ロック、
ルソーです。
ホッブス
ホッブスは17世紀イギリスの政治思想家です。
彼は清教徒革命後の、国政が混乱していた時代に生まれました。このために、国をうまく運営するためには、強力な権力をもった国家が必要であると考え始めます。
ホッブスはその著書『
リヴァイアサン』の中で次のように述べています。
人間には生まれつき、自分の命を守ろうとする
自己保存の欲求と、他人よりも優れた存在でありたいという
虚栄心が存在している。人間はこの2つの欲求を満たそうとするためにあらゆる手段を用いることができる自然権を持ってはいるが、全員が全員これを求め始めると、誰しもが自分の欲求を満たそうとする戦いが起こってしまう。
(これを
万人の万人に対する争いの状態と言います。)
では、これを防ぐためにはどのようにしたらいいのか。
それは人間が生まれながにして適用されている自然法に則って物事を解決するのが一番だとホッブスは続けます。つまり
自然法に沿って、お互いの自由を本能のままに求め合うことをやめるという契約を社会と結ぶのです。この契約を破ったときにペナルティーを課すことができる権威のある国家、それこそがホッブスの考える強力な権力をもった国家であるといえるでしょう。