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動物のもつイメージ

著者名: 春樹
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動物のもつイメージ

日本でカラスだったり黒猫というと、何か不吉な予感がしますよね。
漢文でも、動物がイメージを具現化しているというパターンがあります。
試験にでることはあまりありませんが、重要と思えるものをピックアップしましたので説明しましょう。
烏(カラス)

早速登場しました、「烏」です。冒頭でも説明したように、日本で「烏」はあまり良いイメージをもつ動物ではありません。しかし中国故事では「哀愁」を意味します。
また、夜にカラスがなくことは「鳥啼夜」と書き、なにか良いことが起こる前触れとされています。日本とは全く逆ですね。

日本でカラスが不吉の象徴と見られる理由は、諸説ありますが、いくつかの以下のような要因が考えられます。

まず、カラスは黒色であり、黒色は日本文化において悪や不幸の象徴とされてきました。また、カラスが腐肉食であるため、戦場や死体の周辺に現れることから、死や災いの前触れと見なされてきました。さらに、カラスは非常に知能が高く、人間に対して攻撃的な行動をとることもあります。その知能の高さは、人間の顔や性別を識別できるほどです。また、カラスはゴミを漁ったり、騒音を出したりすることで、人間の生活環境に影響を与えることもあります。

一方で、カラスは古代から神話や伝説に登場し、神の使いや太陽の使いとしても尊敬されてきました。例えば、日本神話に登場する「八咫烏(やたがらす)」は、導きの神とされています。神武天皇の東征の際には、天照大神(または高木大神)によって遣わされ、熊野国から大和国への道案内をしたと伝えられています。また、「鴨(賀茂)県主」の祖である「鴨建角身命(かもたけつのみこと)」がカラスに化身したともされます。

時代や地域によって、カラスに対するイメージは変化してきたことが分かります。海外でも中世以降にカラスが不吉の象徴と見なされた例もありますが、古代では太陽神や戦争神などの象徴として崇められていました。

カラスは不幸を呼ぶ力があるわけではなく、むしろ幸運を運ぶ縁起の良い鳥としても考えられます。八咫烏のように、日本神話や伝説に登場するカラスは尊敬を集める存在であり、熊野三山の神使としても信仰されています。朝賀や即位などの際には幢幡に描かれたり、古墳の壁画にも八咫烏が描かれたりすることがあります。

雁(かり)

雁は手紙を指す動物です。「雁書」と書いて「故郷への手紙」を意味します。
また、雁はもともと集団飛行をする鳥ですので、「孤雁」というと「孤独」を意味します。

蝉(せみ)

蝉は高潔・孤高を意味する虫です。
なぜ高潔・孤高なのかというと、蝉は幼虫の間、何年も地中で一人ぼっちで生活をしています。そして成虫になると1週間でその生命を終えてしまう。そのライフサイクルが高潔・孤高というイメージを当時の人々に持たせたからです。


虎はイメージ通り、獰猛という意味の他に「無謀」という意味を持ちます。
どちらかと言うと後者の意味で用いられることが多いです。
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『単語で学ぶ背景常識 漢文重要単語集』學燈社

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