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百人一首73『高砂の尾の上の桜咲きにけり外山の霞立たずもあらなむ』現代語訳と解説(句切れなど)
著作名: 走るメロス
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百人一首(73)権中納言匡房/歌の意味と読み、現代語訳、単語、品詞分解、覚え方

高砂の 尾の上の桜 咲きにけり 外山の霞 立たずもあらなむ


このテキストでは、百人一首に収録されている歌「高砂の尾の上の桜咲きにけり外山の霞立たずもあらなむ」のわかりやすい現代語訳・口語訳と解説(句切れの有無など)、歌が詠まれた背景や意味、そして品詞分解を記しています。この歌は、百人一首の他に後拾遺和歌集にも収録されています。



百人一首とは

百人一首は、平安時代末期から鎌倉時代初期にかけて活動した公家・藤原定家が選んだ和歌集です。100人の歌人の和歌を、1人につき1首ずつ選んで作られています。百人一首と言われれば一般的にこの和歌集のことを指し、小倉百人一首(おぐらひゃくにんいっしゅ)とも呼ばれます。


暗記に役立つ百人一首一覧

以下のテキストでは、暗記に役立つよう、それぞれの歌に番号、詠み手、ひらがなでの読み方、そして現代語訳・口語訳を記載し、歌番号順に一覧にしています。

暗記に役立つ百人一首一覧


原文

(※1)高砂の (※2)尾の上の桜 咲きにけり (※3)外山の霞 立たずもあらなむ


ひらがなでの読み方

たかさごの をのへのさくら さきにけり とやまのかすみ たたずもあらなむ



現代語訳

(遠く見える)高い山の峰の桜が咲いたことですよ。人里に近い山々の霞よ、(桜を隠してしまうから)どうか立たないでほしい。


解説・鑑賞のしかた

この歌の詠み手は、平安時代後期の貴族大江匡房(おおえ の まさふさ)です。百人一首では権中納言匡房(ごんのちゅうなごんまさふさ)として収録されています。

大江匡房は鎌倉幕府の設立に寄与した大江広元の曽祖父にあたります。大江氏には優れた学者や歌人が多く、百人一首の中にも大江姓だけで3(大江千里、大江匡衡、大江嘉言)が選出されています。

「高砂」(高い場所)と「外山」(低い場所)、「桜」(春の暖かさを連想)と「霞」(春の静謐さを連想)を対比させつつ、のどかで広大な春の景色を見事に詠んだ歌です。


主な技法・単語・文法解説

単語・文法解説

(※1)高砂「山」を表す名詞とする説と、歌枕として親しまれる兵庫県高砂市の地名とする説がある。
(※2)尾の上山の峰や頂をさす言葉。
(※3)外山人里に近い山。「尾の上」との対比で遠近感を強調している。



句切れ

三句切れ。


品詞分解

※名詞は省略しています。



高砂
格助詞
尾の上
格助詞
咲きカ行四段活用「さく」の連用形
完了の助動詞「ぬ」の連用形
けり詠嘆の助動詞「けり」の終止形
外山
格助詞
立たタ行四段活用「たつ」の未然形
打消の助動詞「ず」の連用形
係助詞
あらラ行変格活用「あり」の未然形・補助動詞
なむ終助詞



著者情報:走るメロスはこんな人

学生時代より古典の魅力に取り憑かれ、社会人になった今でも休日には古典を読み漁ける古典好き。特に1000年以上前の文化や風俗をうかがい知ることができる平安時代文学がお気に入り。作成したテキストの総ページビュー数は1,6億回を超える。好きなフレーズは「頃は二月(にうゎんがつ)」や「月日は百代の過客(くゎかく)にして」といった癖のあるやつ。早稲田大学卒業。

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