manapedia
更新日時:
百人一首11『わたの原八十島かけて漕ぎいでぬと人には告げよ海人の釣舟』現代語訳と解説(句切れなど)
著作名: 走るメロス
17,310 views
百人一首(11)参議篁/歌の意味と読み、現代語訳、単語、品詞分解、覚え方

わたの原 八十島かけて 漕ぎいでぬと 人には告げよ 海人の釣舟


このテキストでは、百人一首に収録されている歌「わたの原八十島かけて漕ぎいでぬと人には告げよ海人の釣舟」の現代語訳・口語訳と解説(句切れ・体言止めなど)、歌が詠まれた背景や意味、そして品詞分解を記しています。この歌は、百人一首の他に、古今和歌集にも収録されています。



百人一首とは

百人一首は、平安時代末期から鎌倉時代初期にかけて活動した公家・藤原定家が選んだ和歌集です。100人の歌人の和歌を、1人につき1首ずつ選んで作られています。百人一首と言われれば一般的にこの和歌集のことを指し、小倉百人一首(おぐらひゃくにんいっしゅ)とも呼ばれます。


暗記に役立つ百人一首一覧

以下のテキストでは、暗記に役立つよう、それぞれの歌に番号、詠み手、ひらがなでの読み方、そして現代語訳・口語訳を記載し、歌番号順に一覧にしています。

暗記に役立つ百人一首一覧


原文

(※1)わたの原 (※2)八十島(※3)かけ漕ぎいでぬと 人には告げよ 海人の釣舟


ひらがなでの読み方

わたのはら やそしまかけて こぎいでぬと ひとにはつげよ あまのつりふね



現代語訳

大海原、(そこに浮かぶ)多くの島々を目指して漕ぎ出していったと(都の)人に告げてくれ。漁師の釣り船よ。


解説・鑑賞のしかた

この歌の詠み手は、平安時代初期の公卿、参議篁(さんぎたかむら)です。本名の小野篁(おののたかむら)の方が有名でしょうか。篁は、昼間は朝廷で働き、夜間は冥界で閻魔大王のもとで裁判の補佐をしていたというユニークな伝説の持ち主で、一説には小野小町の祖父ともいわれています。

この歌は、篁が流罪となって隠岐国へ出発するときに、都の人に詠んで贈ったものです。流罪の理由は、遣唐使として唐へ渡る際に朝廷ともめ、当時の嵯峨上皇を激怒させたからといわれています。


主な技法・単語・文法解説

単語

(※1)わたの原大海原
(※2)八十島多くの島々
(※3)かけカ行下二段活用「かく」の連用形。ここでは「目指す」と訳す



句切れ

四句切れ。


技法

体言止め。和歌を名詞(体言)で締めくくる技法をいう。


品詞分解

※名詞は省略しています。



わたの原
八十島
かけカ行下二段活用「かく」の連用形
接続助詞
漕ぎ出でダ行下二段活用「こぎいづ」の連用形
完了の助動詞「ぬ」の終止形
格助詞
格助詞
係助詞
告げよガ行下二段活用「つぐ」の命令形
海人
格助詞
釣舟



著者情報:走るメロスはこんな人

学生時代より古典の魅力に取り憑かれ、社会人になった今でも休日には古典を読み漁ける古典好き。特に1000年以上前の文化や風俗をうかがい知ることができる平安時代文学がお気に入り。作成したテキストの総ページビュー数は1,6億回を超える。好きなフレーズは「頃は二月(にうゎんがつ)」や「月日は百代の過客(くゎかく)にして」といった癖のあるやつ。早稲田大学卒業。

このテキストを評価してください。
役に立った
う~ん・・・
※テキストの内容に関しては、ご自身の責任のもとご判断頂きますようお願い致します。