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百人一首『世の中は常にもがもな渚さこぐあまの小舟の綱手かなしも』現代語訳と解説(品詞分解など) |
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著作名:
走るメロス
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世の中は 常にもがもな 渚さこぐ あまの小舟の 綱手かなしも
このテキストでは、百人一首に収録されている歌「世の中は つねにもがもな なぎさこぐ あまの小舟の 綱手かなしも」の現代語訳・口語訳と解説、そして品詞分解を記しています。源実朝(鎌倉右大臣)が詠んだ歌です。
※百人一首は、平安時代末期から鎌倉時代初期にかけて活動した公家・藤原定家が選んだ和歌集です。100人の歌人の和歌を、1人につき1首ずつ選んで作られています。
世の中は (※1)つねに(※2)もがもな なぎさこぐ (※3)あまの小舟の 綱手(※4)かなしも
よのなかは つねにもがもな なぎさこぐ あまのおぶねの つなでかなしも
世の中は不変であってほしいものだなあ。渚を漕ぐ漁師が小舟の綱手を引く光景は、(今も昔も変わらずに)なんと心にしみることだろう。
この歌は鎌倉幕府の3代将軍であった源実朝が詠んだ歌です。百人一首には鎌倉右大臣(かまくらのうだいじん)の名で選ばれています。
12歳で将軍職についた源実朝でしたが、実権は北条時政(祖父)、そして北条政子(母親)がにぎっていたと言われています。それに加え、北条氏のことをよくは思わない御家人たちの権力争いにまきこまれ、しまいには甥の公暁に暗殺されるという不遇な人生を送ります。そんな波乱万丈の人生の中で、不変な平和を望む気持ちがこの和歌には表れているような気がします。
将軍としての功績はほとんどありませんが、松尾芭蕉や正岡子規、斎藤茂吉など、源実朝の歌人としての功績を評価する文化人は少なくありません。
(※1)つねに | 不変である、変わらずつづいている、永久なこと |
(※2)もがもな | 願望の終助詞「もが」+詠嘆の終助詞「も」+詠嘆の終助詞「な」で、実現の難しそうなことへの願望を表す。ここでは「~であったらなあ」と訳す |
(※3)あま | ここでは「漁師」を意味する |
(※4)かなし | 「かなし」には「①愛し」と「②悲し/哀し」の用法があるが、ここでは「①愛し」 |
※名詞は省略しています。
世の中 | ー |
は | 係助詞 |
つねに | ナリ活用の形容動詞「つねなり」の連用形 |
もがも | 願望の終助詞「もが」+詠嘆の終助詞「も」が一語化したもの |
な | 詠嘆の終助詞 |
なぎさ | ー |
こぐ | ガ行四段活用「こぐ」の連体形 |
あま | ー |
の | 格助詞 |
小舟 | ー |
の | 格助詞 |
綱手 | ー |
かなし | ク活用の形容詞「かなし」の終止形 |
も | 詠嘆の終助詞 |
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