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古文単語「たまふ/給ふ/賜ふ」の意味・解説【ハ行四段活用・ハ行下二段活用】
著作名: 走るメロス
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たまふ/給ふ/賜ふ

このテキストでは、動詞「たまふ」の意味、活用、解説とその使用例を記しています。「たまふ」にはハ行四段活用(尊敬語の用法)とハ行下二段活用(謙譲語の用法)があります。



ハ行四段活用(尊敬語の用法)

未然形たまは
連用形たまひ
終止形たまふ
連体形たまふ
已然形たまへ
命令形たまへ


意味1:他動詞

(与ふ/授くの尊敬語で)お与えになる
(遣すの尊敬語で)およこしになる

[出典]:源氏物語 紫式部
「内裏の帝、御衣ぬぎて賜ふ。」

[訳]:帝が、御召物を脱いでお与えになる


[出典]:伊勢物語
「このありつる人賜へ。」

[訳]:さっきの人をおよこしください


意味2:他動詞

(命令形「たまへ」の形で)
しなさい、してください

[出典]丹波に出雲といふ所あり 徒然草
「いざ給へ、出雲拝みに。かいもちひ召させん。」

[訳]:さあいらっしゃい、出雲(神社)を拝みに。ぼたもちを召し上がらせましょう。





意味3:補助動詞

お〜になる、〜なさる
※この用法の場合、動詞や受身/自発の助動詞「る/らる」、そして尊敬の助動詞「す/さす/しむ」の連用形につく。また、「せたまふ、させたまふ、しめたまふ」はより高い敬語(最高敬語/二重敬語)を表す場合もあるので文脈から判断する。

[出典]かぐや姫の嘆き 竹取物語
「八月十五日ばかりの月に出でゐて、かぐや姫いといたく泣きたまふ。」

[訳]:八月十五日ごろの月が出ているときに、かぐや姫ははげしくお泣きになります


[出典]弓争ひ大鏡
「時違ふことなく勤めさせ給ひて...」

[訳]:(藤原道長は)時間を間違えることなくお勤めになられましたが...


ハ行下二段活用(謙譲語の用法)

未然形たまへ
連用形たまへ
終止形たまふ
連体形たまふる
已然形たまふれ
命令形


意味1:他動詞

(受く/もらふ/食む/飲むの謙譲語で)
頂く

[出典]:万葉集 狭野茅上娘子
「魂は朝夕べにたまふれど吾が胸痛し恋の繁きに」

[訳]:あなたの心は常々頂いて(感じて)いますが、私の胸は痛みます。恋の激しさのために。




意味2:補助動詞

〜させて頂く
※この用法の場合、「思ふ」、「見る」、「聞く」、「知る」などの連用形につく。また、終止形で用いられることはほとんどない。

[出典]:今昔物語
「さらば今宵は御宿直つかまつりて、朝見給へむ。」

[訳]:それでは今夜は宿直をし申し上げて、朝見させて頂きます


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