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蜻蛉日記原文全集「この御方、東宮の御親のごとして候ひ給へば」 |
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著作名:
古典愛好家
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蜻蛉日記
この御方、東宮の御親のごとして候ひ給へば
この御方、東宮の御親のごとして候ひ給へば、まゐり給ひぬべし。
「かうてや」
など、たびたび
「しばしば」
との給へば、宵のほどにまゐりたり。時しもこそあれ、あなたに人の声すれば、
「そそ」
などの給ふに、聞きも入れねば、
「よひまどひし給ふやうにきこゆるを、論なうむづかられ給は、はや」
との給へば、
「乳母(めのと)なくとも」
とて、しぶしぶなるに、者あゆみ来てきこえたてば、のどかならで帰りぬ。
又の日の暮れにまゐり給ひぬ。
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