|
|
|
更新日時:
|
|
![]() |
枕草子 原文全集「七月ばかりに/にげなきもの」 |
著作名:
古典愛好家
13,658 views |
七月ばかりに
七月ばかりに、風いたうふきて雨など騒がしき日、大かたいと涼しければ、扇もうちわすれたるに、汗の香すこしかかへたる綿衣(綿衣)のうすきを、いとよくひき着て昼寝したるこそ、をかしけれ。
にげなきもの
にげなきもの。下衆(げす)の家に雪の降りたる。また、月のさし入りたるもくちをし。月のあかきに屋形(やかた)なき車のあひたる。また、さる車にあめ牛かけたる。また、老いたる女の腹高くてありく。若き男もちたるだに見ぐるしきに、こと人のもとへいきたるとて腹立つよ。老いたる男の、寝まどひたる。また、さやうに鬚(にげ)がちなるもののしゐつみたる。歯もなき女の梅くひてすすがりたる。
下衆の、紅の袴着たる。このころはそれのみぞあめる。靫負(ゆげひ)の佐(すけ)の夜行すがた。狩衣(かりぎぬ)姿もいとあやしげなり。人に怖(お)ぢらるるうえの衣はおどろおどろし。たちさまよふも見つけであなづらはし。「嫌疑のものやある」と、とがむ。入り居てそらだき物に染みたる木丁にうちかけたる袴など、いみじうたづきなし。
かたちよき君達の、 弾正の弼(ひち)にておはする、いと見ぐるし。宮中将などの、さもくちをしかりしかな。
このテキストを評価してください。
役に立った
|
う~ん・・・
|
※テキストの内容に関しては、ご自身の責任のもとご判断頂きますようお願い致します。 |
|
枕草子 原文全集「虫は」
>
枕草子 原文全集「細殿に人あまたゐて」
>
蜻蛉日記原文全集「さて夜は明けぬるを」
>
蜻蛉日記原文全集「そのころほひすぎてぞ」
>
枕草子 原文全集「円融院の御はてのとし」
>
平家物語原文全集「俊寛沙汰・鵜川軍 4」
>
蜻蛉日記原文全集「さてそのころ帥殿の北の方いかでにかありけん」
>
最近見たテキスト
枕草子 原文全集「七月ばかりに/にげなきもの」
10分前以内
|
>
|
デイリーランキング
注目テキスト