チュニジア共和国
チュニジア共和国(以下「チュニジア」、英語ではRepublic of Tunisia)は、北アフリカに位置する共和制国家です。
このテキストでは、チュニジアの特徴を「国土」、「人口と人種」、「言語」、「主な産業」、「主な観光地」、「文化」、「スポーツ」、「日本との関係」の8つのカテゴリに分けて詳しく見ていき、同国の魅力や国際的な影響力について考えていきます。
1. 国土
チュニジア共和国の総面積は163,610平方キロメートルであり、そのうち陸地が155,360平方キロメートル、水域が8,250平方キロメートルを占めます(2023年時点)。北から北東にかけて地中海が広がり、西から南西にかけてはアルジェリアと、南東をリビアと国境を接しています。
国土の北部は、穏やかで雨の多い冬と暑く乾燥した夏が特徴の温帯気候です。一方、南部は砂漠気候であり、サハラ砂漠へと続いています。地形は、北部に山岳地帯が広がり、中央部には高温で乾燥した平野、そして南部に半乾燥地帯がサハラ砂漠と融合しています。主要な天然資源としては、石油、リン酸塩、鉄鉱石、鉛、亜鉛、塩が挙げられます。
2. 人口と人種
2023年の推計によると、チュニジア共和国の人口は約1,100万人です。人種構成は、アラブ人が98%と大部分を占め、ヨーロッパ系が1%、ユダヤ系およびその他がそれぞれ1%を構成しています。人口増加率は0.63%(2023年推計)であり、穏やかな成長が見られます。チュニジアでは、民族間の広範な混淆により、隣接する国と比較してベルベル人の割合が低いという特徴があり、多様な人々が平和的に共存しています。
3. 言語
チュニジア共和国の公用語はアラビア語であり、商業においても主要な言語の一つとして使用されています。フランス語は公的な地位を持たないものの、国内で広く話されており、人口の約3分の2がフランス語を使用しているとされています。特に商業分野において重要な役割を担っています。また、ベルベル語(タマジグト語)も話されています。
4. 主な産業
チュニジア共和国の主要産業は多岐にわたります。石油産業、リン酸塩や鉄鉱石を中心とした鉱業、そして観光業が経済の柱となっています。その他、繊維産業、履物製造業、アグリビジネス(農業関連産業)、飲料製造業なども主要な産業として挙げられます。これらの産業は、チュニジアの経済発展に貢献しています。
5. 主な観光地
チュニジア共和国には、歴史的な遺跡から美しい海岸線、広大な砂漠まで、多様な観光地が存在します。
■シディ・ブ・サイド
チュニス北東約20kmに位置するこの町は、白い壁と「チュニジアンブルー」と呼ばれる青い窓枠やドアが特徴的な美しい景観で知られています。地中海を見下ろす高台にあり、散策に適しており、近くには世界文化遺産も存在します。
■カルタゴ遺跡
古代フェニキア人が築き、後にローマ帝国時代に栄えたカルタゴの広大な遺跡群です。下層部分には古代カルタゴの遺構が、その上にはローマ時代の列柱遺跡が残り、当時の繁栄を偲ばせます。アントニヌスの共同浴場跡なども見どころです。
■ドゥッガ遺跡
保存状態が非常に良い古代ローマ時代の遺跡群であり、世界遺産にも登録されています。約3,500人を収容できた壮大な劇場、神殿、浴場など、当時の市民生活を物語る建造物が点在しています。
■エル・ジェム円形闘技場
ローマ帝国時代に建設された円形競技場で、ローマ建築の中でも特に保存状態が良いことで知られています。中央の舞台だけでなく、地下通路や部屋も現存しており、壮麗な姿を今に伝えています。
■チュニス
首都チュニスの旧市街(メディナ)は、13世紀頃の面影を残すアラブ文化の中心地であり、世界遺産に登録されています。グランドモスクは街のシンボルです。
■サハラ砂漠(ドゥーズ、マトマタ)
アフリカ大陸を東西に広がるサハラ砂漠のチュニジア部分は、特に砂の美しさで評判です。ドゥーズは「サハラの門」と呼ばれ、砂漠ツアーの拠点となります。マトマタは、映画「スター・ウォーズ」のロケ地としても知られるベルベル人の穴倉住居が特徴的な場所です。
■スース
美しい街並みと、侵略の歴史を示す要塞都市の名残が共存する都市です。リバトやグランドモスクが特に有名です。
6. 文化
チュニジア共和国の文化は、ベルベル、アラブ、そしてヨーロッパの要素が融合した独特の様式を形成しています。イスラム教が国民の大多数を占める国教ですが、他の宗教も尊重され、平和的な共存が見られます。1956年の独立後、初代大統領ハビブ・ブルギバは共和制憲法を制定し、強制結婚、一夫多妻制、女性の顔を覆うベールなどを法律で禁止し、近代化を推進しました。この進歩的な姿勢は現在も続いており、中東地域において特異な存在となっています。そのため、公共の場で女性がベールで顔を覆うことは一般的ではありません。
音楽や舞踊、文学、美術といった分野では、伝統的なアラブ文化と現代的な表現が共存しており、伝統音楽のマールーフや繊細なアラベスク模様の工芸品などがチュニジア文化を象徴しています。イスラム教のラマダン期間中は、日中の飲食が制限されるため、観光客も配慮することが推奨されます。
7. スポーツ
チュニジア共和国において、最も人気のあるスポーツはサッカーです。国民の大多数がサッカーを好み、カフェなどで試合観戦を楽しむ姿が日常的に見られます。チュニジアのサッカーナショナルチームは、アフリカの強豪チームの一つとして国際的に高い評価を得ています。国内では、チュニジアカップとチュニジアリーグという二つの主要なサッカー大会が毎年開催されています。首都チュニスを拠点とするエスペランス・スポルティーブ・ドゥ・チュニス(ESチュニス)は、1919年設立の歴史ある名門クラブであり、国内リーグで33回、チュニジアカップで15回優勝(いずれも国内最多記録)しているほか、CAFチャンピオンズリーグでも4回の優勝を誇るなど、アフリカサッカー界で最も成功を収めているクラブの一つです。
サッカーの他mスケットボール、バレーボール、ハンドボールなども人気を博しています。
8. 日本との関係
日本とチュニジア共和国は、長年にわたり友好的な関係を築いてきました。両国は1956年6月26日に外交関係を樹立し、2016年には外交関係樹立60周年を迎えました。
■経済協力
経済協力においては、日本はチュニジアに対し、有償資金協力(2022年度までの累計3,531.77億円)、無償資金協力(同85.40億円)、技術協力(同293.40億円)などを通じて支援を行っています。2023年6月にはチュニスで第11回合同委員会が開催され、二国間関係の強化が図られています。
貿易関係では、2023年の財務省貿易統計によると、日本からチュニジアへの輸出額は約109億円であり、主な輸出品目は自動車、鉄鋼、機械、電気機器などです。一方、チュニジアから日本への輸入額は約187億円であり、マグロ、衣類、電気機器などが主な輸入品目となっています。2024年11月現在、チュニジアには26社の日本企業が進出しています。また、2025年6月には日・チュニジア投資協定交渉の第1回会合が開催され、早期妥結に向けた協議が進められています。
■文化交流
文化交流も活発に行われています。筑波大学を中心とした学術交流、国費留学生の受け入れ、日本映画・アニメの上映会、日本人音楽家によるコンサートの実施、日本語講座を設置する語学学校への支援などが行われています。2011年3月の東日本大震災に際しては、チュニジアからツナ缶6万個の物資供与があったほか、在京チュニジア大使館の主導で宮城県石巻市および千葉県旭市に支援ミッションが派遣され、救援物資の提供や炊き出しが行われるなど、災害時における相互支援の実績もあります。
二国間条約・取極としては、1956年の査証免除取極(日仏査証免除取極を独立後も継続)、1960年3月の貿易取極、1974年7月の青年海外協力隊派遣取極、2022年8月の技術協力協定、同年8月の二国間クレジット制度(JCM)に関する協力覚書などが締結されています。