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18_80 西アジア・地中海世界の形成 / ローマ帝国

中小農民の没落とは わかりやすい世界史用語1075

著者名: ピアソラ
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中小農民の没落とは

古代ローマにおける中小農民の没落は、ローマ社会と経済の大きな変化を象徴する出来事です。この現象はローマ帝国の社会構造や経済に深刻な影響を与えました。

中小農民の役割と初期の繁栄

ローマ共和国の初期において、中小農民は社会の基盤を形成していました。彼らは自らの土地を耕し、家族で経営する農場を運営していました。農業はローマ経済の中心であり、農民たちは自給自足の生活を送りながら、余剰生産物を市場で販売していました。

また、中小農民はローマ軍の主要な兵力供給源でもありました。彼らは市民兵として戦争に参加し、戦後には土地を与えられることが多く、農業と軍事が密接に結びついていました。



中小農民の没落の原因

中小農民の没落には、いくつかの主要な要因があります。

戦争と土地の荒廃: ローマの拡大と戦争によって、多くの農民が戦場に送られ、彼らの土地は荒廃しました。戦争から戻った農民は、荒れた土地を再建するための資金や労働力を持っていませんでした。また、安価な穀物がローマの属州から流入しました。

ラティフンディアの台頭: 大規模農場(ラティフンディア)の出現は、中小農民の没落を加速させました。戦争で得た土地は富裕層や貴族によって買収され、大規模農場に統合されました。これらの農場は奴隷労働を利用して効率的に運営され、中小農民は競争に敗れました。

経済的圧力と負債: 中小農民は、税金や借金の返済に苦しんでいました。戦争や自然災害による収穫の不作は、彼らの経済的負担を増大させ、多くの農民が土地を手放すことを余儀なくされました。

都市化と人口移動: ローマの都市化が進む中、多くの農民が都市に移住し、農村部の人口が減少しました。都市では、農民たちは低賃金の労働者として働くことが多く、農業から離れていきました。

中小農民の没落の影響

中小農民の没落は、ローマ社会と経済に深刻な影響を及ぼしました。

社会的不安定: 中小農民の没落は、社会的不安定を引き起こしました。土地を失った農民たちは都市での生活に適応できず、貧困層が増加しました。これにより社会的な緊張が高まり、反乱や暴動が頻発しました。

軍事力の低下: 中小農民の減少は、ローマ軍の兵力供給にも影響を与えました。自営農民が減少することで、ローマ軍は兵士の確保に苦労し、軍事力が低下しました。

経済の変動: ラティフンディアの台頭により、ローマ経済は大規模農業に依存するようになりました。これにより経済の多様性が失われ、農業生産の集中化が進みました。

改革と対策

中小農民の没落に対する改革と対策も試みられました。

グラックス兄弟の改革: 紀元前2世紀後半、ティベリウス・グラックスとガイウス・グラックス兄弟は土地改革を提案しました。彼らは大規模農場の土地を分割し、中小農民に再分配することを目指しましたが、貴族層の反対により失敗に終わりました。

軍事改革: 紀元前107年、ガイウス・マリウスは軍事改革を実施し、無産市民を軍に採用することで兵力を補充しました。この改革によりローマ軍は再び強力な軍事力を持つことができましたが、同時に軍の政治的影響力が増大しました。

古代ローマの中小農民の没落は、ローマ社会と経済の大きな変動を象徴する現象でした。戦争、経済的圧力、ラティフンディアの台頭などが原因となり、多くの農民が土地を失い、社会的不安定や軍事力の低下を引き起こしました。
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・中小農民の没落とは わかりやすい世界史用語1075

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『世界史B 用語集』 山川出版社

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