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11_80 文法 / 比較

クジラ構文

著者名: Satow
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クジラ構文とは、主にA is no more ~ than Bという形になっている構文で、「AはBと同様~ない」と訳されます。次の例文が有名です。

1) A whale is no more a fish than a horse is.
(クジラはウマと同様にサカナではない)

ところで、クジラ構文は本当に比較なのでしょうか? Moreがふつうの比較ならば、以下の例文のように、形容詞や副詞、あるいは複数名詞や不可算名詞の前に置かれるはずです。

2) She is more beautiful than her sister.
3) He rans more slowly than his brother.
4) I have more books than you have.
5) She has more money than her boyfriend.

ところが、1)の例文ではmoreがa fishの前に置かれています。これは本当に比較構文なのでしょうか? さらに、次のような例文もあります。

6) I can no more swim than a stone can.

今度は動詞の前に置かれています。これって本当に本当に比較構文なのでしょうか?

実は、いわゆるクジラ構文は強意的修辞的否定表現なのです。強意的というのは、文の意味を強めているのであり、修辞的というのは、文全体をちょっと文学的な言い回しにしているのです。そもそも人間の「私」と単なる「石」とを比較するのは妙な話です。比較できるのは原則的に同種のものだけのはずですから。つまり、このクジラ構文は文法的にも意味的にもふつうの比較構文から逸脱しているのです。

6)の例文をno=not anyという公式を利用して書き換え、強調しているだけで意味上不要な個所をカッコにしてみます。

6) I can no (more) swim (than a stone can).
=I cannot swim (any more than a stone can).

こうなってみるとわかりやすいかもしれません。カッコの部分は省いても文の趣旨には無関係です。ほんとうに言いたいことは「僕は全然泳げないんだ」であって、それ以外には別段深い意味はないのです。文全体は、「石って全然泳げないよね。石以上に僕は泳げるわけじゃないんだよ。要するに、僕は全然泳げないんだ」といった意味になっています。カッコ内の言い回しに敢えて意味があるとすれば、ちょっとした強調であり、またちょっと文学的な言い回しにあるのです。従って、カッコ内の表現から文学的要素を省いて単に強調するだけにすれば、「まったく」という意味になるのです。

6) I can no (more) swim (than a stone can).
=I cannot swim (any more than a stone can).
(私はまったく泳げません)

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