はじめに
このテキストでは、万葉集の第5巻に収録されている「
春なればうべも咲きたる梅の花君を思ふと夜眠も寝なくに」(八三一)の現代語訳・口語訳とその解説を記しています。この和歌は、平成の次の元号である「令和」(2019年5月1日〜)の由来となった万葉集『
梅花の歌三十二首并せて序』に収録された32首のうちのひとつです。
原文
春なれば (※1)うべも咲きたる 梅の花 君を思ふと 夜眠も寝なくに
ひらがなでの読み方
はるなれば うべもさきたる うめのはな きもをおもふと よいもねなくに
現代語訳
春なので、なるほど(暦通りに)咲いた梅の花よ。君を思うと夜も眠れないのです
解説
壱岐守板氏安麻呂(=板持安麻呂)の歌です。大伴旅人主催の梅花の宴にて詠まれた32首のひとつです。梅花の宴とは文字通り梅の花を題材とした歌を詠む会で、当時太宰府の長官であった大伴旅人を中心に開催されました。そのときに詠まれた32首にはすべて梅の花が含まれています。
単語・文法解説