こぼる/零る/溢る
「こぼる」には、
①
毀る
②零る/溢る
などの用法があるが、ここでは「②零る/溢る」を扱う。
ラ行下二段活用
未然形 | こぼれ |
連用形 | こぼれ |
終止形 | こぼる |
連体形 | こぼるる |
已然形 | こぼるれ |
命令形 | こぼれよ |
■意味1:自動詞
あふれ出る、こぼれる、はみ出る。
[出典]:
九月ばかり 枕草子
「九月ばかり、夜一夜降り明かしつる雨の、今朝はやみて、朝日いとけざやかにさし出でたるに、前栽の露は、
こぼるばかり濡れかかりたるも、いとをかし。」
[訳]:九月ごろ、一晩中明け方まで降り続いた雨が、今朝はやんで、朝日がとても際立って差し始めたときに、庭に植えた草木の露が、
こぼれ(落ち)るほど濡れかかっているのも、とても趣があります。
■意味2:自動詞
散り落ちる。
[出典]:後撰和歌集
「梅の花折ればこぼれぬわが袖ににほひ香うつせ家づとにせむ」
[訳]:梅の花よ、折ると(花びらが)散り落ちてしまうので(私の)袖に匂いだけうつしてほしい。(それを)家への土産にしよう。
■意味3:自動詞
外に現れる。
[出典]:紅葉賀 源氏物語
「愛敬こぼるるやうにて...」
[訳]:(紫の上は)魅力が外に現れるようで...