「ぬるし/温し」の意味・活用・使用例【形容詞ク活用】
このテキストでは、ク活用の形容詞「
ぬるし/温し」の意味、活用、解説とその使用例を記している。
形容詞・ク活用
未然形 | ぬるく | ぬるから |
連用形 | ぬるく | ぬるかり |
終止形 | ぬるし | ◯ |
連体形 | ぬるき | ぬるかる |
已然形 | ぬるけれ | ◯ |
命令形 | ◯ | ぬるかれ |
■意味1
生暖かい。
[出典]:
春はあけぼの 枕草子
「昼になりて、
ぬるくゆるびもていけば、火桶の火も、白き灰がちになりてわろし。」
[訳]:昼になって、
生暖かく(寒さが)だんだんとやわらいでいくと、火桶に入った炭火も白い灰が多くなっているのは(見た目が)よくない。
■意味2
鈍い、機敏でない、のろい。
[出典]:おどろのした 増鏡
「御本性も、父帝よりは少しぬるくおはしましけれど...」
[訳]:ご性格も、父である帝よりは少し鈍くていらっしゃいましたが...
■意味3
情が薄い、熱心でない、いい加減だ。
[出典]:若菜上 源氏物語
「かかればこそ、世のおぼえのほどよりは、うちうちの御心ざしぬるきやうにはありけれ。」
[訳]:だからこそ、世間の評判(が高い)よりは、(源氏の君の)心中のご愛情は薄いようであった。