文学の分野では、1920年代後半に活躍したプロレタリア文学作家の多くが弾圧の強化により転向し、しだいに衰えていきました。一方、プロレタリア文学に対抗した新感覚派(モダニズム)の中から、
横光利一・川端康成らが出て活躍しました。
| 作家名 | 代表作品名 |
| 大仏次郎 | 鞍馬天狗(24〜59) |
| 江戸川乱歩 | 陰獣(28) |
| 山本有三 | 女の一生(32〜33) |
| 島崎藤村 | 夜明け前(29) |
| 横光利一 | 機械(30),寝園(30) |
| 直木三十五 | 南国太平記(30〜31) |
| 川端康成 | 雪国(35〜37) |
| 吉川英治 | 宮本武蔵(35〜39) |
| 堀辰雄 | 風立ちぬ(36) |
| 石川達三 | 生きてゐる兵隊(38) |
| 火野葦平 | 麦と兵隊(38) |
| 伊東整 | 得能五郎の生活と意見(40〜41) |
| 高見順 | 如何なる星の下に(39〜40) |
| 谷崎潤一郎 | 細雪(43) |
| 小林秀雄 | 無常といふ事(42) |
| 武田麟太郎 | 日本三文オペラ(32) |
| 村山知義(転向) | 白夜(34) |
| 中野重治(転向) | 村の家(35) |
| 島木健作(転向) | 生活の探求(37〜38) |
演劇界ではプロレタリア劇場同盟とそのあとを継いだ
新協劇団・新築地劇団が中心となり新劇活動が行われましたが、統制強化により振るわなくなり、一時衰退しました。1937年(昭和12年)には、新生新派が結成され時局物・花柳界物を上演しました。歌舞伎は伝統的な演劇として優遇されましたが、革新を目指して1931年(昭和6年)に前進座が創立され歌舞伎に新しい息吹を吹き込みました。大衆演劇では軽演劇・少女歌劇が発展し、映画は1931・32年ころから発声映画(
トーキー)が採用され発展しました。
国民生活や世相の面では、1930年代はじめに都会で退廃的・享楽的生活が広がり、エロ・グロ・ナンセンス時代が訪れ、厳しい生活の息抜きとしてカフェ・バー・ダンスホールが繁盛し、歌謡曲やジャズが流行しました。しかし、1937年(昭和12年)に日中戦争をきっかけに国民精神総動員運動がはじまると、消費生活・貯蓄が奨励され、勤労奉仕・生活改善が説かれ、風俗面の取り締まりが強化され、国民生活の隅々まで統制がおよびました。1939〜1941年(昭和14〜16年)には、「
ぜいたくは敵だ」のスローガンのもとで、一部髪型の禁止やネオン・サインの禁止、ダンスホールの閉鎖、贅沢品の製造や販売禁止、国民服や戦闘帽・モンペ着用の奨励などが耐乏生活が強制され、大学では軍事教練が必須になるなど、国民生活のあらゆる面で軍国主義的統制が加えられ、1938年(昭和13年)には
町内会・隣組が制度化され、国民生活の相互監視・規制が強められました。