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17_80 両世界大戦期の日本と世界 / 政党政治の発展と大衆文化の形成

【都市化と大衆化、大正時代の文化】 受験日本史まとめ 69

著者名: Cogito
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学問

大正デモクラシーの高まりにより、人文・社会科学分野で自由主義的な学問や研究が広がりました。経済学・経済誌研究では内田銀蔵・河上肇・福田徳三らが、憲政史研究では尾佐竹猛が業績をあげました。

近代法学では美濃部達吉(1873〜1948)が天皇機関説を唱え、上杉慎吉の天皇主権説を批判し、学会で広く支持を受けました。

天皇機関説とは、ドイツの公法学者ゲオルグ=イェリネックが唱えた国家法人説に基づき、天皇が国家統治の主体であることを否定し、統治権の主体を法人たる国家であり、元首たる天皇は国家最高機関として憲法の条規に則って統治権を行使するという学説で、大日本帝国憲法を自由主義的・立憲主義的に解釈したものでした。天皇機関説は統治権を天皇固有の万能で絶対的な権限であるとする天皇主権説と対立するものでしたが、当時から学会・政界・官界で広く認められたものでした。憲法学の通説となった天皇機関説は、議会の役割に重きを置き、政党政治と憲政の常道を支えました。しかし、後に政党政治が不安定となり軍部が台頭すると、天皇を絶対視する思想が広まり、1935年(昭和10年)に貴族院で天皇機関説が排撃され、美濃部達吉は不敬罪に問われ貴族院議員を辞職しました。また、同年10月15日に国体明徴声明が出され、天皇機関説は公式に排除され、その教授も禁止されました。

歴史学の分野では、津田左右吉・黒板勝美・辻善之助らが実証主義的研究で成果を挙げ、アジア史研究では白鳥庫吉が業績を残しました。民俗学では、柳田国男(1875〜1962)が民間伝承・風俗習慣・行事研究をつうじて庶民の生活史と民俗学を確立しました。哲学では、西田幾多郎(1870〜1945)が『善の研究』を発表し、阿部次郎・安倍能成・和辻哲郎などの理想主義・人格主義的思想家が活躍しました。

マルクス主義も社会科学分野に現れ、マルクスの『資本論』を高畠素之が完訳し、『貧乏物語』の著者河上肇が自由主義経済学者からマルクス主義経済学者となり、民本主義理論家の大山郁夫が無産政党運動で活躍しました。また、山田盛太郎・平野義太郎・野呂栄太郎・羽仁五郎・服部之総らマルクス主義経済学者・歴史学者により『日本資本主義発達史講座』が出版されました。彼ら講座派は明治維新を絶対主義の形成とみなし、日本資本主義の半封建的性格を強調しました。これに対し、明治維新を不完全なブルジョワ革命とみなし、日本資本主義の半封建制を否定する櫛田民蔵ら労農派学者は反対し、活発な明治維新論争・日本資本主義論争が展開されました。

自然科学・技術分野では、K・S磁石鋼を発明した本多光太郎、相対性理論を研究した石原純、黄熱病を研究した野口英世、数学の類体論を確立した高木貞治、指向性超短波アンテナを発明した八木秀次、原子核を研究した仁科芳雄などが代表的でした。こうした研究施設として、民間の北里研究所・理化学研究所、東京帝大の航空研究所・地震研究所などが設立されました。

文学

文芸分野では、武者小路実篤(1885〜1976)・有島武郎(1878〜1923)・志賀直哉(1883〜1971)・有島生馬(1882〜1974)白樺派が活躍しました。上流階級出身で都会的感覚と西欧的教養を身に着けた彼らは、1910年に創刊された雑誌『白樺』を中心に創作・評論活動を行いました。白樺派と並び、永井荷風(1879〜1959)・谷崎潤一郎(1886〜1965)ら耽美派(唯美派)の作家も多くの作品を残しました。これ以降にも、芥川龍之介(1892〜1927)・久米正雄(1891〜1952)・菊池寛(1888〜1948)らが文壇にデビューし、新思潮派・新現実派・新理知主義派などと呼ばれました。大衆文学も新聞や大衆雑誌に発表され、多くの読者を獲得し、中里介山がその先駆けで、久米や雑誌『文藝春秋』を創刊し、経営にあたった菊池寛は大正末期以降大衆小説家として著名となりました。

また、プロレタリア文学運動もおこり、1921年(大正10年)に創刊された雑誌『種蒔く人』を中心に、青野季吉・平林初之輔等によってすすめられ、1925年(大正14年)に日本プロレタリア文芸連盟が結成され雑誌『文芸戦線』を中心に活動しました。これ以降内部対立により日本プロレタリア芸術連盟や日本プロレタリア文化連盟などに変わり、作家として『蟹工船』の著者小林多喜二(1903〜33)・徳永直・宮本百合子・葉山嘉樹・中野重治などがいました。

主な文学作品
作家名作品名
永井荷風フランス物語・腕くらべ
谷崎潤一郎刺青・痴人の愛・細雪
武者小路実篤その妹・人間万歳
有島武郎或る女
志賀直哉和解・暗夜行路
長与善郎青銅の基督
倉田百三出家とその弟子
里見弴善心悪心
芥川龍之介羅生門・鼻・河童
菊池寛父帰る・恩讐の彼方に
久米正雄破船
横光利一日輪
川端康成伊豆の踊り子
山本有三
佐藤春夫田園の憂鬱
葉山嘉樹海に生くる人々
徳永直太陽のない街
小林多喜二蟹工船
中里介山大菩薩峠
大仏次郎赤穂浪士

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『詳説日本史』 山川出版社
『日本史用語集』 山川出版社

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