プロレタリア文学
プロレタリア文学とは、1920年代から1930年代にかけて誕生した文学で、
社会主義・
共産主義への転向を目指す、革命的立場から描いた文学のことを指します。
作品としては、
小林多喜二の「
蟹工船」や
徳永直の「
太陽のない街」などが有名です。
労働者階級がいかに資産家から搾取をされ続けてきたのか、労働者の権利が無碍にされているという現状を訴え、政治を批判した作品も多く、そのために政府によって
厳しい弾圧の対象となりました。
小林多喜二は治安維持警察に捉えられて、牢獄の中で獄中死をしています。
当時の世界情勢が文学に与えた影響
この時期の世界情勢をみてみるとわかるのですが、国内では
大正デモクラシー、世界では
ロシア革命が起こり、また世界恐慌によって
社会情勢の不安定さが浮き彫りになっていきます。
人々は、普通選挙権や労働者の権利、男女差別や部落差別など、様々な権利を求めて運動を行います。特にそれまで表に出ることの少なかった
低所得者層の訴えが、社会主義や共産主義思想と結びついて、プロレタリア文学を築き上げたと言ってもいいでしょう。
しかしながら小林多喜二らが弾圧されたあと、政府からの弾圧を恐れた文壇は、プロレタリア文学から自らの主張を放棄した文学へと転向していくことになるのです。