さわぐ/騒ぐ
このテキストでは、ガ行四段活用の動詞「
さわぐ/騒ぐ」の意味、活用、解説とその使用例を記している。
ガ行四段活用
未然形 | さわが |
連用形 | さわぎ |
終止形 | さわぐ |
連体形 | さわぐ |
已然形 | さわげ |
命令形 | さわげ |
■意味1:自動詞
やかましい音をたてる、騒がしくする。
[出典]:万葉集
「み吉野の象山の際の木末にはここだもさわく鳥の声かも」
[訳]:吉野の象山の山間の梢では、たくさんの(鳴き)騒いでいる鳥の声がすることだよ
■意味2:自動詞
慌てる、動揺する、うろたえる。
[出典]:
絵仏師良秀 宇治拾遺物語
「『あさましきこと。』とて、人ども来とぶらひけれど、
騒がず。」
[訳]:「大変なことですね。」と言って、人々が見舞いに来たのですが、(良秀は)
動じていません。
■意味3:自動詞
忙しく動き回る、奔走する。
[出典]:万葉集
「あしひきの山にも野にも御狩人猟矢手挟み騒ぎてあり見ゆ」
[訳]:山にも野にも狩人が矢を手に挟んで持って、忙しく動き回っているのが見えることです
■意味4:自動詞
文句を言う、やかましく不平を言う。
[出典]:かしこきものは 枕草子
「さりとてほかへいけば、異心ありとてさわがれぬべし。」
[訳]:そうはいっても他の所へ行けば、浮気心があるといって文句を言われるのだろう。
■意味5:自動詞
評判が立つ、うわさする。
[出典]:須磨 源氏物語
「忍び忍び帝の御妻さへあやまちたまひて、かくも騒がれたまふなる人は、まさにかくあやしき山賤を、心とどめたまひてむや。」
[訳]:帝のお妃とまで過ちを犯しなさって、このようにうわさされなさる人は、どうしてこのように身分の低い田舎者に、心をとめてくださいましょうか。
■意味6:自動詞
混乱する、騒動が起こる。
[出典]:烽火之沙汰 平家物語
「小松殿に騒ぐことありと聞こえしかば...」
[訳]:小松殿(平重盛の邸宅)に騒動が起こることがあるとうわさが立ったので...