あからさまなり
このテキストでは、ナリ活用の形容動詞「
あからさまなり」の意味、活用、解説とその使用例を記している。
形容動詞・ナリ活用
未然形 | あからさまなら | ◯ |
連用形 | あからさまなり | あからさまに |
終止形 | あからさまなり | ◯ |
連体形 | あからさまなる | ◯ |
已然形 | あからさまなれ | ◯ |
命令形 | あからさまなれ | ◯ |
■意味1
ほんのちょっと、ほんのしばらく。
※この用法の場合、多くが連用形「あからさまに」の形で用いられる。
[出典]:
うつくしきもの 枕草子
「をかしげなるちごの、
あからさまにいだきて遊ばしうつくしむほどに、かいつきて寝たる、いとらうたし。」
[訳]:かわいらしい様子の子どもが、
ほんのちょっと抱いて遊ばせかわいがっているうちに、しがみついて寝たのは、とてもかわいらしい。
■意味2
ほんの少しも〜ない、まったく〜ない。
※この用法の場合、「あからさまにも〜打消」の形で用いられる。
[出典]:須磨 源氏物語
「え見たてまつり棄てず、家にあからさまにもえ出でざりけり。」
[訳]:お見捨て申し上げることができず、家にもまったく出かけることができなかった。
■意味3
はっきりしている、明らかだ、明白だ。
※この用法は近世以降のもの。
[出典]:新花摘 与謝蕪村
「山蟻のあからさまなり白牡丹」
[訳]:(黒い)山蟻がはっきりとわかるよ、白い牡丹の上に。
■意味4
急に、突然に。