ありく/歩く
このテキストでは、カ行四段活用の動詞「
ありく/歩く」の意味、活用、解説とその使用例を記している。
カ行四段活用
未然形 | ありか |
連用形 | ありき |
終止形 | ありく |
連体形 | ありく |
已然形 | ありけ |
命令形 | ありけ |
■意味1:自動詞
(人や動物などが)
歩く、歩きまわる。
[出典]:
うつくしきもの 枕草子
「大きにはあらぬ殿上童の、装束きたてられて
ありくもうつくし。」
[訳]:大きくはない殿上童が、美しく着飾らせられて
歩くのもかわいらしい。
■意味2:自動詞
移動する、行き来する。
[出典]:卯月の晦方に 枕草子
「菰積みたる舟のありくこそ、いみじうをかしかりしか。」
[訳]:まこもを積んだ舟が行き来することは、たいへん風情があった。
■意味3:補助動詞
(あちこちで)〜して、まわる。
[出典]:
にくきもの 枕草子
「にはかにわづらふ人のあるに、験者もとむるに、例ある所になくて、外に尋ね
ありくほど...」
[訳]:急に病気になった人がいるので、修験者を探し求めると、(修験者が)普段いる所にはいなく、別の所を
あちこち探して
まわるうちに...
■意味4:補助動詞
ずっと〜し続ける、〜して過ごす。
[出典]:大和物語
「子どもあまた出で来て、思ひて住みけるほどに、亡くなりにければ、限りなくかなしくのみ思ひありくほどに...」
[訳]:子どもがたくさん生まれて、いとしく思いながら住んでいたうちに、(妻が)亡くなったので、この上なく悲しいとばかり思って過ごすうちに...