現代語訳(口語訳)
虎が言いました。
「私には以前作った詩が数十編あります。
(それらの詩は)まだ世には知られていません。
未発表の原稿があったとしても、(それらは)ばらばらになってしまったに違いありません。
あなたは、私のために(私の詩を)伝え残してください。
本当のところ有識者のうわさになるほどのものではないのですが、子孫に伝えることを重視したいのです。」と。
袁傪はすぐに従者を読んで筆を用意させて、(虎となった李徴が)口にすることに従って書き記していきました。
(詩は)二十章近くになりました。
文は大変優れており、内容はとても深遠なものでした。
(袁傪はその詩を)何度も読んで感嘆しました。
虎が言いました。
「これらが私の行った仕事です。
どうして(これらの詩を子孫に)伝えないということができましょうか、いやできません。」
間をおかずに続けて言いました。
「私は詩を一つ作ろうと思います。
私の外見は異類のものですが、中身は(人間と)違わないことを示したいのです。
私の思いを語って、その憤りを述べたいのです。」
袁傪はまた従者に命じて、筆を用意させて(李徴に)伝授させました。
詩は(次のように)言いました。
単語・文法解説
| 未行於代 | 「未」は再読文字。「いまだ〜(せ)ず」と読み、「まだ〜ない」と訳す |
| 遺藁 | 死後に残された未発表の原稿 |
| 安得寝而不伝歟 | 「安A歟」で「いづくんぞA(せ)ん」と読み反語を表す |