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杜牧『江南春(江南の春)』原文・書き下し文・現代語訳(口語訳)と解説

著者名: 走るメロス
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『江南春(江南の春)』の原文・現代語訳と解説

ここでは、中国の詩人杜牧が詠んだ漢詩「江南春」の原文(白文)、書き下し文と現代語訳・口語訳と解説(七言絶句・押韻・対句の有無など)をしています。

※この漢詩は、のちに述べる理由から「江南春絶句」と呼ばれることもあります。



白文

※左から右に読んでください。

千 里 鶯 啼 緑 映 紅
水 村 山 郭 酒 旗 風
南 朝四 百 八 十 寺
多 少 楼 台 煙 雨 中

書き下し文

千 里 鶯 啼 (※1)緑 映 紅
千里鶯啼いて緑紅に映ず
せんりうぐいすないて みどりくれないにえいず

(※2)水 村 山 郭 酒 旗 風
水村山郭酒旗の風
すいそんさんかく しゅきのかぜ



(※3)南 朝 (※4)四 百 八 十 寺
南朝四百八十寺
なんちょう しひゃくはっしんじ

多 少 (※5)楼 台 (※6)煙 雨
多少の楼台煙雨の中
たしょうのろうだい えんうのうち

現代語訳(口語訳)

千里鶯啼いて緑紅に映ず
千里一体に広がる広大な土地のあちらこちらで鶯(うぐいす)が鳴き、木々の緑と花の紅とが(互いに照り)映えている

水村山郭酒旗の風
水辺の村や山あいの村では酒屋の旗が春風にはためいている



南朝四百八十寺
(仏教が栄えた)南朝の時代、(この辺りには)多くの寺が建てられたが

多少の楼台煙雨の中
今なおその建物の多くが(名残をとどめ)、煙るような雨の中にある(のが見える)

単語

江南揚子江下流の江南地方のこと
(※1)緑映紅木々の緑と花の紅とが互いに照り映えてい美しい様を表している
(※2)水村山郭水辺の村や山あいの村
(※3)南朝中国南部に栄えた宋、斉、梁、陳の王朝をさす。これに呉・東晋を加えた六つの王朝を六朝と呼ぶ。仏教が栄え、その隆盛ぶりは「南朝四百八十寺」と讃えられた
(※4)四百八十寺「しひゃくはっしんじ」」と読む。数が多いことを表している
(※5)楼台ここでは「建物」と訳す
(※6)煙雨煙のように降る雨、霧雨




楽しみ方

この漢詩は、春の景色を見事に歌ったものです。1句目では、鶯が鳴き声と、新緑と花の紅のコントラストの美しさを、2句目では、村でのどかな風が吹いている情景を、3区目と4句目では、春雨の中に立つ古い寺院のたたずまいが詠まれています。そんな情景をイメージしながら漢詩を読んでみましょう。

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『教科書 高等学校 国語総合 古典編』 三省堂
鎌田正、米山寅太郎 著 2011 『新漢語林 第二版』大修館書店

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