新規登録 ログイン

10_80 文章の読み解き / 文章の読み解き

『王昭君』現代語訳・書き下し文と解説

著者名: 走るメロス
Text_level_1
マイリストに追加

現代語訳(口語訳)

元帝の後宮既に多く、常には見ゆるを得ず。
元帝の後宮に住む女性たちは既にたくさんいたので、常に(元帝に)お目にかかることができるというわけではありませんでした。



乃ち画工をして形を図かしめ、図を案じ、召して之を幸す。
そこで(元帝は)絵描きたちに(女性の)姿を描かせて、その絵で、(選んだ)女性を召し抱えて寵愛していました。

諸宮人皆画工に賂ひし、多き者は十万、少なき者も亦五万を減ぜず。
宮中の女性たちは皆、(美しく描いてもらおうと)絵描きたちに賄賂をわたし、多い者は十万(の賄賂)を、少ない者でも五万よりは少なくありませんでした。

独り王嬙のみ肯ぜず。
一人、王嬙(王昭君)だけはこれを良しとしませんでした。

遂に見ゆるを得ず。
(醜く描かれた絵のせいで、王昭君は)ついに(元帝に)お目にかかることはできませんでした。



匈奴入朝するや、美人を求めて閼氏と為さんとす。
匈奴が朝貢してきたとき、美人をもらって君主の妻としたいと言いました。

是に於いて上図を案じ、昭君を以て行かしむ。
(元帝は)そこで、(絵描きに描かせた)絵を参考に、王昭君を(妻として)行かせることにしました。

去るに及びて召見するに、貌後宮第一たり。
(王昭君が宮廷を)去ることになったので、(元帝が)召し抱えて(王昭君を)見たところ、(王昭君は)宮廷一の美貌でした。

善く応対し、挙止閑雅なり。
対応の仕方がよく、立ち振舞いはしとやかで優雅でした。

帝之を悔ゆるも、名籍已に定まる。
元帝はこれ(王昭君を嫁がせること)を後悔しましたが、(王昭君の名が記された)名簿は既に出来上がっていました。



帝信を外国に重んず。
元帝は外国への信用を重視しました

故に復た人を更へず。
それゆえにもう人を変えることはしませんでした。

乃ち其の事を窮案し、画工皆棄市せらる。
そこで(元帝は不思議に思って)その事を徹底的に調べて、絵描きたちを皆死刑にしてその死体を市中にさらしました。

単語・文法解説

後宮宮廷に使える女性たちの詰め所、またはそのに住む女性たちのことを指す言葉
使画工図形「使AをしてB」で「AにBさせる」と訳す。使役
幸す寵愛する
入朝朝貢するためにやってくる
閼氏「えんし、あつし」と読む。匈奴の君主の妻のことを指す
閑雅しとやかで優雅な様
窮案徹底的に調べ上げる
棄市公衆で打首にして、死体を市中にさらすこと

1ページへ戻る
前のページを読む
2/2
次のページを読む

Related_title
もっと見る 

Keyword_title

Reference_title
『教科書 高等学校 古典B 漢文編』 三省堂
鎌田正、米山寅太郎 著 2011 『新漢語林 第二版』大修館書店

この科目でよく読まれている関連書籍

このテキストを評価してください。

※テキストの内容に関しては、ご自身の責任のもとご判断頂きますようお願い致します。

 

テキストの詳細
 閲覧数 196,821 pt 
 役に立った数 326 pt 
 う〜ん数 42 pt 
 マイリスト数 0 pt 

知りたいことを検索!

まとめ
このテキストのまとめは存在しません。