発心集『数寄の楽人』
このテキストでは、発心集の中の『数寄の楽人』でテストに出題されそうな問題をピックアップしていきます。 書籍によっては、『時光茂光の数寄天聴に及ぶ事』と題するものもあるようです。
次の文章を読み、問いに答えよ
中ごろ、市正時光といふ笙吹きありけり。茂光といふ篳篥師と囲碁を打ちて、同じ声に裹頭楽 を唱歌にしけるが、おもしろくおぼえけるほどに、内より
とみのことにて時光を召しけり。
御使ひ至りて、この由を言ふに、いかにも、耳にも聞き入れず、ただもろともにゆるぎあひて、ともかくも申さざりければ、御使ひ、帰り参りて、この由をありのままにぞ申す。いかなる御戒めかあらむと思ふほどに、
「
いとあはれなる者どもかな。さほどに楽にめでて、何ごとも忘るばかり思ふらむこそ、いとやむごとなけれ。王位は口惜しきものなりけり。行きてもえ聞かぬこと。」
とて、涙ぐみ給へりければ、思ひのほかになむありける。
これらを思へば、この世のこと思ひ捨てむことも、数寄はことにたよりとなりぬべし。
問題
■Q1:「笙」、「篳篥」を現代仮名遣いで記しなさい。
■Q2:「とみのこと」の文章中での意味を答えなさい。
■Q3:「御使ひ至りて、この由を言ふに」の「この由」とはどのようなことを指すか答えなさい。
■Q4:「もろともに」とは誰と誰のことを指すか答えなさい。
■Q5:「何ごとも忘るばかり思ふらむこそ」の「こそ」の結びを文中より抜き出しなさい。
■Q6:「王位は口惜しきものなりけり」とあるが、帝がこのように口にした理由を文中より抜き出しなさい。
■Q7:「行きてもえ聞かぬこと」を現代語訳しなさい。
■次ページ:解答と現代語訳