はじめに
ここでは、
新古今和歌集で詠まれている「
人住まぬ不破の関屋の板廂荒れにしのちはただ秋の風」という歌について説明していきます。
原文
人住まぬ不破の関屋の板廂荒れにし後はただ秋の風
現代語訳(口語訳)
今は廃止されて人の住んでいない不破の関所の小屋の板廂よ。荒れ果ててしまったとにはただ、むなしく秋風が吹くだけである。
解説・鑑賞のしかた
多くの人でにぎわった不破の関所が廃止されて、もはや誰もそこには行かなくなりました。そのことは、「人住まぬ」・「板廂」・「ただ秋の風」などからわかります。その荒廃を目の前に詠んでいる歌です。この句は三句切れで、体言止めの技法も使われています。
単語
不破の関 | 岐阜にあった関所で、伊勢にあった鈴鹿の関、越前にあった愛発の関とともに古代三関の1つです |
板廂 | 板で作った粗末な廂 |
荒れにしのちは | 荒れてしまったのちには |
ただ秋の風 | 訪れる人はおらずに、ただ秋風が吹いているだけというわびしい状況がイメージができる |
品詞分解
※名詞は省略しています。
人 | ー |
住ま | マ行四段活用・未然形 |
ぬ | 打消の助動詞・連頼形 |
不破 | ー |
の | 格助詞 |
関屋 | ー |
の | 格助詞 |
板廂 | ー |
荒れ | ラ行下二段活用・連用形 |
に | 完了の助動詞・連用形 |
し | 過去の助動詞・連体形 |
のち | ー |
は | 係助詞 |
ただ | 副詞 |
秋 | ー |
の | 格助詞 |
風 | ー |