狐借虎威(虎の威を借る狐)
ここでは、中国戦国時代の遊説家の思想をまとめた書物「戦国策」に収録されている『
狐借虎威(虎の威を借る狐)』の原文(白文)、書き下し文、現代語訳(口語訳)とその解説を記しています。書籍に寄っては「狐虎の威を借る」と題するものもあるようです。
原文(白文)
虎求百獣
(ⅰ)而食之、得狐。
狐曰、
「子(ⅱ)無敢食我也。
天帝(ⅲ)使我長百獣。
今子食我、是逆天帝命也。
子以我為不信、吾為子先行。
子随我後観。
百獣之見我、而(ⅳ)敢不走乎。」
虎以為然。
故遂与之行。
獣見之皆走。
虎不知獣畏己而走也。
以為畏狐也。
書き下し文
虎求百獣而食之、得狐。
虎百獣を求めて之を食らひ、狐を得たり。
狐曰、
狐曰く、
「子無敢食我也。
子敢へて我を食らふこと無かれ。
天帝使我長百獣。
天帝我をして百獣に長たらしむ。
今子食我、是逆天帝命也。
今子我を食らはば、是れ天帝の命に逆らふなり。
子以我為不信、吾為子先行。
子我を以つて信ならずと為(な)さば、吾子の為に先行せん。
子随我後観。
子我が後に随(したが)ひて観よ。
百獣之見我、而敢不走乎。
百獣の我を見て、敢へて走らざらんや。」と。
虎以為然。
虎以つて然りと為す。
故遂与之行。
故に遂に之と行く。
獣見之皆走。
獣之を見て皆走る。
虎不知獣畏己而走也。
虎獣の己を畏れて走るを知らざるなり。
以為畏狐也。
以つて狐を畏ると為すなり。
(※別解釈:以為へらく、狐を畏るるなり)
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