はじめに
このテキストでは、
新古今和歌集で詠まれている「
夕立の雲もとまらぬ夏の日の かたぶく山にひぐらしの声」という歌について説明していきます。
原文
夕立の雲もとまらぬ夏の日の かたぶく山にひぐらしの声
現代語訳
山にかかっていた夕立を降らせた雲はもう消えてなくなってしまった。夏の夕日が沈んでいく山で、ひぐらし(セミの一種)の鳴いていることよ。
解説
この歌は、後白河法皇の娘であった式子内親王(しょくしないしんのう)が詠んだものです。
夕日が沈み始める前に、ザーッっと夕立が降っていたのでしょう。その夕立を降らしていた雲もなくなってしまったあと、涼しさが出てきた夕方に、山からせみの鳴き声が聞こえるというまさに、時間帯によって情景の変わる夏の終わりを表した一句といえます。
「夕立」は、日本の夏の風物詩として多くの句に読まれています。