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百人一首『恨みわび干さぬ袖だにあるものを恋に朽ちなむ名こそ惜しけれ』現代語訳と解説(係り結びなど)
著作名: 走るメロス
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百人一首(65)相模/歌の意味と読み、現代語訳、単語、品詞分解


恨みわび 干さぬ袖だに あるものを 恋に朽ちなむ 名こそ惜しけれ


このテキストでは、百人一首に収録されている歌「恨みわび干さぬ袖だにあるものを恋に朽ちなむ名こそ惜しけれ」のわかりやすい現代語訳・口語訳と解説(係り結び、句切れの有無など)、そして品詞分解を記しています。この歌は、百人一首の他に後拾遺和歌集にも収録されています。



百人一首とは

百人一首は、平安時代末期から鎌倉時代初期にかけて活動した公家・藤原定家が選んだ和歌集です。100人の歌人の和歌を、1人につき1首ずつ選んで作られています。

原文

(※1)恨みわび 干さぬ袖(※2)だに あるものを 恋に朽ちなむ 名こそ惜しけれ

ひらがなでの読み方

うらみわび ほさぬそでだに あるものを こひにくちなむ なこそをしけれ



現代語訳

(相手のつれなさを)恨んで悲しみ、(いつも泣いて涙をぬぐっているので)乾くひまもない袖(が朽ちてしまうことさえ惜しい)というのに、恋の(浮名のために)きっと朽ち果ててしまう(私の)評判が惜しいことです。


解説・鑑賞のしかた

この歌の詠み手は、平安時代の女流歌人、相模(さがみ)です。相模守・大江公資の「妻」となったことから相模と呼ばれるようになりましたが、夫婦関係はうまくいかずに離別することとなりました。その後は、百人一首の64番目の歌を詠んだ藤原定頼と恋愛関係にあったことが知られています。

恋多き女性だった相模がこの歌を詠んだのは、彼女が50代のころです。「つれない人を想って涙をぬぐう袖が乾くひまもないほどいつも泣きはらしている。袖がボロボロになって惜しいと思うのだけど、それ以上に、恋の浮名で私の名声も朽ちていってしまうのが惜しいのです。」と詠むには少し歳を重ねすぎているかもしれませんが、ひょっとしたら自身の経験を反映した歌だったのかもしれません。


主な技法・単語・文法解説

単語・文法解説

(※1)恨みわびバ行上二段活用「うらみわぶ」の連用形。「恨んで悲しむ、恨んでつらく思う」と訳す
(※2)だに副助詞。ここでは「~でさえ」と訳す


句切れ

句切れなし。

品詞分解

※名詞は省略しています。



恨みわびバ行上二段活用「うらみわぶ」の連用形
干さサ行四段活用「ほす」の未然形
打消の助動詞「ず」の
だに副助詞
ある補助動詞・ラ行変格活用「あり」の連体形
ものを接続助詞
格助詞
朽ちタ行上二段活用「くつ」の連用形
確述の助動詞「ぬ」の未然形
推量の助動詞「む」の連体形
こそ係助詞(係り結び)
惜しけれシク活用の形容詞「をし」の已然形


著者情報:走るメロスはこんな人

学生時代より古典の魅力に取り憑かれ、社会人になった今でも休日には古典を読み漁ける古典好き。特に1000年以上前の文化や風俗をうかがい知ることができる平安時代文学がお気に入り。作成したテキストの総ページビュー数は1,6億回を超える。好きなフレーズは「頃は二月(にうゎんがつ)」や「月日は百代の過客(くゎかく)にして」といった癖のあるやつ。早稲田大学卒業。

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