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百人一首19『難波潟みじかき葦のふしの間も逢はでこの世を過ぐしてよとや』現代語訳と解説(縁語・序詞・歌枕など) |
著作名:
走るメロス
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百人一首(19)伊勢/歌の意味と読み、現代語訳、単語、品詞分解、覚え方
難波潟 みじかき葦の ふしの間も 逢はでこの世を 過ぐしてよとや
このテキストでは、百人一首に収録されている歌「難波潟みじかき葦のふしの間も逢はでこの世を過ぐしてよとや」のわかりやすい現代語訳・口語訳と解説(縁語・序詞など)、歌が詠まれた背景や意味、そして品詞分解を記しています。この歌は、百人一首の他に、新古今和歌集にも収録されています。
百人一首とは
百人一首は、平安時代末期から鎌倉時代初期にかけて活動した公家・藤原定家が選んだ和歌集です。100人の歌人の和歌を、1人につき1首ずつ選んで作られています。百人一首と言われれば一般的にこの和歌集のことを指し、小倉百人一首(おぐらひゃくにんいっしゅ)とも呼ばれます。
暗記に役立つ百人一首一覧
以下のテキストでは、暗記に役立つよう、それぞれの歌に番号、詠み手、ひらがなでの読み方、そして現代語訳・口語訳を記載し、歌番号順に一覧にしています。
※暗記に役立つ百人一首一覧
原文
(※1)難波潟 みじかき葦の (※2)ふしの間も 逢はで(※3)この世を (※4)過ぐしてよとや
ひらがなでの読み方
なにはがた みじかきあしの ふしのまも あはでこのよを すぐしてよとや
現代語訳
難波潟に生えている葦の短い節と節の間ようなわずかな間さえも、逢わずにこの世を過ごせというのですか。
解説・鑑賞のしかた
この歌の詠み手は、平安時代中期の女性歌人で三十六歌仙の一人でもあった、伊勢(いせ)です。恋多き女性としても知られ、宇多天皇や名だたる平安貴族と恋仲にあったと言われます。
この歌も恋を題材にしたものです。平安時代の恋愛や結婚は、男性が女性のもとを訪れる通い婚というスタイルが一般的でした。常に男性の訪問を待つ立場であった当時の女性の気持ちは、人を好きになった経験のある人であれば察することができるでしょう。「ほんのちょっとの時間すら会いにきてくれない恋人へ募る思い」そのような切ない感情を詠んだ歌といえます。
主な技法・単語・文法解説
■単語
(※1)難波潟 | 現在の大阪湾の入り江。 |
■(※1)歌枕
「難波潟」が歌枕。歌に詠み込まれている名所のことを歌枕という。以下に歌枕が含まれる歌の例を記す。
【逢坂の関】
これやこの行くも帰るも別れては知るも知らぬも逢坂の関
【生駒山】
君があたり見つつを居らむ生駒山雲な隠しそ雨は降るとも
■序詞
「難波潟 みじかき葦の」が、「節」を導く序詞。
■(※2)縁語
「節」と「葦」が縁語。また、節の間を「よ」ということから「このよ」も葦と縁語。
■(※3)掛詞
「このよ」は、「世(よ)」と「節(よ)」の掛詞。
■(※4)結びの省略
過ぐしてよとや | 「や」は疑問の係助詞。結び「言ふ」が省略されている。 |
■句切れ
句切れなし。
品詞分解
※名詞は省略しています。
難波潟 | ー |
みじかき | ク活用の形容詞「みじかし」の連体形 |
葦 | ー |
の | 格助詞 |
ふし | ー |
の | 格助詞 |
間 | ー |
も | 係助詞 |
逢は | ハ行四段活用「あふ」の未然形 |
で | 接続助詞 |
こ | 代名詞 |
の | 格助詞 |
世 | ー |
を | 格助詞 |
過ぐし | サ行四段活用「すぐす」の連用形 |
てよ | 完了・強意の助動詞「つ」の命令形 |
と | 格助詞 |
や | 係助詞 |
著者情報:走るメロスはこんな人
学生時代より古典の魅力に取り憑かれ、社会人になった今でも休日には古典を読み漁ける古典好き。特に1000年以上前の文化や風俗をうかがい知ることができる平安時代文学がお気に入り。作成したテキストの総ページビュー数は1,6億回を超える。好きなフレーズは「頃は二月(にうゎんがつ)」や「月日は百代の過客(くゎかく)にして」といった癖のあるやつ。早稲田大学卒業。
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