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剝片石器とは 世界史用語30 |
著作名:
ピアソラ
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剝片石器とは
剝片石器とは、原石からはがされた剝片を加工して作った石器のことです。剝片石器は、人類の歴史の中で最も古くから使われてきた石器の一種であり、約250万年前の旧人(ホモ・エレクトス)の時代から約1万年前の新人(ホモ・サピエンス)の時代まで、世界各地で広く用いられました。剝片石器は、毛皮を剥いだり、肉を切ったり、木を削ったり、骨を穿ったりなど、さまざまな用途に合わせて形や大きさが変化しました。また、剝片石器は、人類の知能や技術の発達を示す重要な証拠ともなりました。
まず、剝片石器の種類について見ていきましょう。剝片石器は、原石からはがした剝片そのものを使う場合と、さらに加工して形を整える場合とがあります。前者を単純剝片石器(simple flake tool)、後者を複雑剝片石器(complex flake tool)と呼びます。単純剝片石器は、原始的なものであり、旧人の時代から使われていました。単純剝片石器には、刃部分が鋭く尖ったナイフ型(knife-shaped)、刃部分が丸みを帯びたスプーン型(spoon-shaped)、刃部分が平らなスクレーパー型(scraper-shaped)などがあります。これらは、主に動物の皮や肉を加工するのに使われました。複雑剝片石器は、より洗練されたものであり、中期旧人(ホモ・ハイデルベルゲンシス)やネアンデルタール人(ホモ・ネアンデルターレンシス)、新人の時代に使われました。複雑剝片石器には、両面に刃部分を持つ握斧(hand axe)、一方に刃部分を持ちもう一方に柄を付けることができる尖頭器(pointed tool)、長く細い刃部分を持つ石刃(stone blade)などがあります。これらは、主に木や骨を加工するのに使われました。
次に、剝片石器の製法について見ていきましょう。剝片石器は、原石から適当な大きさや形の剝片を取り出すことが基本です。この作業を打撃法(percussion method)と呼びます。打撃法には、硬い岩や木などで原石を叩く方法と、柔らかい骨や角などで原石に圧力をかける方法があります。硬い岩でたたく方法は、大きく厚い剝片を得ることができますが、精度や制御性に欠けます。一方後者の方法は、小さく薄い剝片を得ることができますが、技術や経験が必要です。剝片石器の製法は、時代や地域によってさまざまに変化しました。
さらに、剝片石器の分布や変遷について見ていきましょう。剝片石器は、アフリカ大陸が発祥地とされています。約250万年前に、旧人が初めて単純剝片石器を使い始めました。約180万年前に、旧人がアフリカからユーラシア大陸に進出しました。約80万年前に、中期旧人が複雑剝片石器を使い始めました。約40万年前に、中期旧人がネアンデルタール人と新人に分化しました。約10万年前に、新人がアフリカからユーラシア大陸に再進出しました。約4万年前に、ネアンデルタール人が絶滅しました。約1万年前に、新人が全世界に広がりました。剝片石器は、これらの人類の移動や交流に伴って広まりや変化を見せました。
最後に、剝片石器の意義や影響について見ていきましょう。剝片石器は、人類の生活や文化に大きな影響を与えました。剝片石器は、食料や資材を得るための効率的な道具となり、動物の皮や骨などを加工して衣服や装飾品などを作るための素材となりました。また剝片石器は、木や骨などを加工して槍や弓などの武器や道具を作るための手段となりました。他方で芸術や宗教などの表現活動にも用いられました。例えば、壁画や彫刻などの美術作品を作るために使われたり、埋葬儀礼などで供え物として使われたりしました。
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