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高校古文『生まれしも帰らぬものをわが宿に小松のあるを見るが悲しさ』わかりやすい現代語訳と品詞分解
著作名: 走るメロス
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はじめに

このテキストでは、土佐日記に収録されている歌「生まれしも帰らぬものをわが宿に小松のあるを見るが悲しさ」の現代語訳・口語訳と解説、そして品詞分解を記しています。



※この歌が収録されている章は、日付でいうと二月二十六日、便宜的に「帰京」と題す書籍もあります。

原文

生まれしも帰らぬものをわが宿に小松のあるを見るが悲しさ

ひらがなでの読み方

むまれしもかえらぬものをわがやどにこまつのあるをみるがかなしさ

現代語訳

(この家で)生まれた子でさえも帰ってこないというのに、(留守の間に)我が家に生えた小さい松が(育って)あるのを見るのが悲しいことよ。



解説

作者は紀貫之です。土佐日記には次のように書かれています。
作者が久しぶりに帰った家の庭で、新しく生えている松を見て、赴任先の土佐で亡くなった我が子のことを思って詠んだ歌。

「生まれし」の後ろに「子」や「幼児」などを補って解釈をするとよりわかりやすくなります。そう考えると、「小松」の「」は、「生まれし」のあとに隠されている「」と掛けたものと理解でき、我が子(短命)は死んでしまったのに、庭の松の子(寿命が長いと考えられている)は健やかに育っているという対比が生まれ、我が子を失った悲しみがよりいっそう強まります。

品詞分解

※名詞は省略しています。



生まれラ行下二段活用「むまる」の連用形
過去の助動詞「き」の連体形
係助詞
帰らラ行四段活用「かへる」の未然形
打消の助動詞「ず」の連体形
ものを接続助詞
代名詞
格助詞
宿
格助詞
小松
格助詞
あるラ行変格活用「あり」の連体形
格助詞
見るマ行上一段活用「みる」の連体形
格助詞
悲しさ


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