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高校古文『風吹けば沖つ白波たつた山夜半にや君がひとり越ゆらむ』わかりやすい現代語訳と品詞分解
著作名: 走るメロス
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『風吹けば沖つ白波たつた山夜半にや君がひとり越ゆらむ』現代語訳と解説

このテキストでは、伊勢物語の23段『筒井筒』また『古今和歌集』や『大和物語』にも収録されている歌「風吹けば沖つ白波たつた山夜半にや君がひとり越ゆらむ」の現代語訳・口語訳と解説(序詞・掛詞など)、そして品詞分解を記しています。



原文

吹けば 沖つ白波 たつた山 夜半にや君が ひとり越ゆらむ

ひらがなでの読み方

かぜふけば おきつしらなみ たつたやま よはにやきみが ひとりこゆらむ

現代語訳(口語訳)

風が吹くと沖の白波がたつ、その「たつ」と同じ名前がついている竜田山を、夜中にあの人は一人で越えているのでしょうか。





解説

古今和歌集の左記に次のような記述があります。要約したものです。

別の女のもとに通うようになった男の行動を、この男の妻は不快に思う様子もなく、新しい女のもとへと送り出してやりました。男は、妻にも他の男を思う浮気心があってこのようにしているのであろうかと疑わしく思ったので、別の女の所へと行くふりをして庭の植え込みの中に隠れて妻の様子を伺ったところ、妻がこの歌を詠んだので、男は感動して、別の女のもとへは通わなくなったと言い伝えています。


技法

序詞

「風吹けば 沖つ白波」が、「たつ」を導く序詞です。この序詞があることで、竜田山に恐ろしげなイメージを与えています。



掛詞

「たつ」が、波が「立つ」と地名の竜田山の「竜」を掛けた掛詞です。


歌枕

「竜田山」は、今の奈良県西北部と大阪府東南部との境にある山で、大和の国と河内の国とを結ぶ交通路でした。歌枕として用いられる代表的なもののひとつです。「立田山」とも書きます。


係り結び

「夜半にや君が ひとり越ゆらむ」の「や〜らむ」が係り結びとなっています。


単語

竜田山今の奈良県西北部と大阪府東南部との境にある山で、大和の国と河内の国とを結ぶ交通路。歌枕として用いられる代表的なもののひとつで「立田山」とも
夜半「よは」と読む。夜中、夜更けの意味



品詞分解

※名詞は省略しています。



吹けカ行四段活用「ふく」の已然形
接続助詞
格助詞
白波
たつた山
夜半
格助詞
係助詞
代名詞
格助詞
ひとり
越ゆヤ行下二段活用「こゆ」の終止形
らむ現在推量の助動詞「らむ」の連体形



著者情報:走るメロスはこんな人

学生時代より古典の魅力に取り憑かれ、社会人になった今でも休日には古典を読み漁ける古典好き。特に1000年以上前の文化や風俗をうかがい知ることができる平安時代文学がお気に入り。作成したテキストの総ページビュー数は1,6億回を超える。好きなフレーズは「頃は二月(にうゎんがつ)」や「月日は百代の過客(くゎかく)にして」といった癖のあるやつ。早稲田大学卒業。

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