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高校古文『防人に行くは誰が背と問ふ人を見るが羨しさ物思ひもせず』現代語訳と解説・品詞分解 |
著作名:
走るメロス
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防人歌/わかりやすい現代語訳と解説
防人に 行くは誰が背と 問ふ人を 見るがともしさ 物思ひもせず
このテキストでは、万葉集に収録されている歌「防人に行くは誰が背と問ふ人を見るがともしさ物思ひもせず」の現代語訳・口語訳、解説そして品詞分解を記しています。
万葉集とは
万葉集は、奈良時代末期に成立したとみられる日本に現存する最古の和歌集です。平成の次の元号である「令和」(2019年5月1日〜)の由来となった『梅花の歌三十二首并せて序』をはじめ、天皇や貴族、役人や農民など様々な身分の人々が詠んだ4500以上の歌が収録されています。
原文
防人に 行くは誰が背と 問ふ人を 見るがともしさ 物思ひもせず
ひらがなでの読み方
さきもりに ゆくはたがせと とふひとを みるがともしさ ものおもひもせず
現代語訳
「(今度)防人として北九州に行くのはどちらのご主人かしら?」と周りの人たちが言っているのを見るのがもどかしい。夫が(防人として)行ってしまう私の気持ちを知りもしないで。
解説
防人(さきもり)とは、飛鳥時代から平安時代の間に課せられていた税の1つで、北九州の警護を担当する仕事でした。この時代は税金とはいっても、お金ではなく布などの現物や労働で納めていました。詳しくは日本史の授業で学習すると思います。
北九州までの移動にかかるお金は自分で負担しなければなりませんし、防人として働いていてもそのほかの税が免除されることはなく、残される身からすると、働き手である若い男性はいなくなるし、税は払い続けなければならないしと、大変なことずくしだったはずです。
この句の作者はわかっていませんが、防人に夫を送り出した妻、もしくはその様子をイメージした誰かが詠んだ歌になるでしょう。万葉集には、防人のことを詠んだ防人歌とよばれる歌がいくつも登場しています。
背 | 「背」とは、夫や恋人、兄弟などの男性を親しんでいう言葉。反対語は「妹」 |
品詞分解
※名詞は省略しています。
防人 | ー |
に | 格助詞 |
行く | カ行変格活用・連体形 |
は | 係助詞 |
誰 | ー |
が | 格助詞 |
背 | ー |
と | 格助詞 |
問ふ | ハ行四段活用・連体形 |
人 | ー |
を | 格助詞 |
見る | マ行上一段活用・連体形 |
が | 格助詞 |
羨しさ | ー |
物思ひ | ー |
も | 係助詞 |
せ | サ行変格活用・未然形 |
ず | 打消の助動詞・連用形 |
著者情報:走るメロスはこんな人
学生時代より古典の魅力に取り憑かれ、社会人になった今でも休日には古典を読み漁ける古典好き。特に1000年以上前の文化や風俗をうかがい知ることができる平安時代文学がお気に入り。作成したテキストの総ページビュー数は1,6億回を超える。好きなフレーズは「頃は二月(にうゎんがつ)」や「月日は百代の過客(くゎかく)にして」といった癖のあるやつ。早稲田大学卒業。
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