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18_80 内陸アジア世界の形成 / モンゴル民族の発展

モンゴル語とは わかりやすい世界史用語2074

著者名: ピアソラ
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モンゴル語とは

モンゴル語は、モンゴル高原を中心とする広大な地域で話されている言語であり、モンゴル諸語と呼ばれる語族の中核をなす存在です。その歴史は、チンギス・カンが築いたモンゴル帝国と共に世界史の表舞台に登場しますが、その起源はさらに古く、東アジアの草原地帯で興亡を繰り返した数多の遊牧民族の言語と複雑に絡み合っています。モンゴル語の起源を探ることは、単一の言語の系譜をたどるだけでなく、中央ユーラシアの民族移動、文化交流、そして政治的変遷の壮大な歴史を言語学的な側面から解き明かす試みでもあります。
モンゴル語の系統については、長年にわたり活発な議論が交わされてきました。特に、チュルク諸語やツングース諸語との関係性をめぐるアルタイ語族仮説は、比較言語学における最も重要な論争の一つです。この仮説は、これらの言語群が共通の祖先言語から分化したとするものですが、一方で、類似性は言語接触による借用や地域的な特徴の収斂の結果であるとする反論も根強く存在します。
本稿では、モンゴル語の起源を多角的に探求するため、まずその祖先言語であるモンゴル祖語の再構から始め、その音韻、形態、語彙の特徴を概観します。次に、モンゴル語の歴史を、記録が乏しい前モンゴル祖語期、モンゴル帝国時代の中期モンゴル語、そして近代に至るまでの各段階に分けて、その変遷を詳細に追います。さらに、モンゴル語の系統をめぐる中心的な論点であるアルタイ語族仮説に焦点を当て、チュルク諸語との関係性を具体的な言語資料に基づいて深く考察します。また、近年の研究で注目されている契丹語などのパラ・モンゴル語群との関係にも言及し、モンゴル語族形成の全体像をより明確に描き出すことを目指します。文字の歴史もまた言語の発展と不可分であり、ウイグル文字から派生した伝統的な縦書きモンゴル文字から、パスパ文字、ソヨンボ文字、そして現代のキリル文字に至るまで、それぞれの文字が採用された歴史的背景とその特徴についても詳述します。
この包括的な分析を通じて、モンゴル語が単なるコミュニケーションの道具ではなく、モンゴル民族のアイデンティティを形成し、その壮大な歴史と文化を映し出す鏡であることを明らかにします。



モンゴル諸語の概要と分類

モンゴル語は、より大きな言語グループであるモンゴル諸語に属しています。この語族は、主にモンゴル国、中国の内モンゴル自治区、ロシアのブリヤート共和国やカルムイク共和国など、北アジアから東ヨーロッパにかけての広大な地域で話されています。話者数が最も多いのはモンゴル語であり、モンゴル国と内モンゴル自治区のモンゴル人の主要言語となっています。

モンゴル諸語の地理的分布

モンゴル諸語の話者は、地理的に大きく分散しています。中心となるのはモンゴル高原で、ここにはモンゴル国のハルハ方言話者や中国内モンゴル自治区のチャハル方言、オルドス方言などの話者が集中しています。北にはロシア連邦のブリヤート共和国を中心にブリヤート語の話者が、西には同じくロシア連邦のカルムイク共和国にカルムイク語の話者がいます。カルムイク語はオイラト語の方言と見なされることもあります。
中国国内では、内モンゴル自治区以外にも、北東部の黒竜江省などにダウール語の話者が、甘粛省や青海省には東部ユグル語、モングォル語、バオアン語、サンタ語、カンジャ語といった多様な言語を話す人々が暮らしています。これらの甘粛・青海地域の言語群は、地理的にまとまっていることから言語連合を形成しているとも指摘されています。さらに西に目を向けると、アフガニスタンにはかつてモンゴル帝国の駐屯兵の子孫が話していたとされるモゴール語が存在しましたが、現在は消滅したと考えられています。

モンゴル諸語の分類

モンゴル諸語の内部における分類は、研究者によって見解が分かれる部分もありますが、一般的には以下のようなグループに大別されます。
中央モンゴル語群: このグループはモンゴル諸語の中核をなし、話者数も最も多いです。
モンゴル語: モンゴル国の公用語であるハルハ方言や、中国内モンゴル自治区のチャハル方言、オルドス方言などが含まれます。
ブリヤート語: ロシアのブリヤート共和国を中心に話されています。
オイラト語: 中国の新疆ウイグル自治区や、ロシアのカルムイク共和国で話されています。
ハムニガン・モンゴル語: モンゴル国北東部やロシアで話される、ツングース語の影響を強く受けた言語です。
南部モンゴル語群: 主に中国の甘粛省と青海省に分布しています。
シラ・ユグル語: 同じ地域で話されるチュルク系の西部ユグル語とは区別されます。
シロンゴル語群:
モングォル語: フジュ・モングォル語とミンヘ・モングォル語に分けられます。
バオアン語
サンタ語
カンジャ語
ダウール語: 中国の内モンゴル自治区北東部や黒竜江省で話されています。他のモンゴル諸語から比較的早い段階で分岐したと考えられており、多くの古風な特徴を保持しています。
モゴール語: アフガニスタンで話されていましたが、現在は消滅したとされています。ペルシア語の強い影響を受けていた点が特徴です。
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『世界史B 用語集』 山川出版社

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