パキスタン・イスラム共和国
パキスタン・イスラム共和国(以下「パキスタン」、英語ではIslamic Republic of Pakistan)は、南アジアに位置する連邦共和制国家です。首都はイスラマバードです。
このテキストでは、パキスタンの特徴を「国土」、「人口と人種」、「言語」、「主な産業」、「主な観光地」、「文化」、「スポーツ」、「日本との関係」の8つのカテゴリに分けて詳しく見ていき、同国の魅力や国際的な影響力について考えていきます。
1. 国土
パキスタン・イスラム共和国は、南アジアに位置し、北はヒマラヤ山脈、カラコルム山脈、ヒンドゥークシュ山脈に囲まれ、アフガニスタン、タジキスタン、中国と国境を接しています。東はインド、西はイランと国境を接しており、南はアラビア海に面しています。総面積は796,095平方キロメートルであり、そのうち陸地が770,875平方キロメートル、水域が25,220平方キロメートルを占めています。
パキスタンは、主に4つの地域に分けられます。北部の山岳地帯、インダス川が流れるパンジャーブ平原とシンド平原、西部から南西部にかけての乾燥したバルチスタン高原、そして南部のアラビア海岸です。
このような地理的特徴により、多様な気候帯と生態系が存在します。例えば、北部では氷河を伴う高山気候が見られる一方、南部では高温多湿な気候となっています。
2. 人口と人種
パキスタンの人口は、2023年時点で約2億4,048万人です。世界第5位の人口規模を誇り、特に若い世代が多く、平均年齢は2021年時点で22.8歳とされています。人種構成は、パンジャーブ人が全体の約44.7%を占めており最も多く、次いでパシュトゥーン人が約15.4%、シンド人が約14.1%、サライキ人が約8.4%、ムハージルが約7.6%、バルーチ人が約3.6%となっています(2017年)。その他にも、バルティ人、ヒンドコ人、カシュミール人など、多くの民族グループが共存しています。
3. 言語
公用語は、ウルドゥー語と英語です。しかし、ウルドゥー語を母語とする人は人口の約8%に過ぎず、大部分の人々はパンジャーブ語、シンド語、パシュトゥー語、バルーチー語などを話します。ウルドゥー語は、教育や公的文書、メディアなどで広く使用され、国民の共通言語としての役割を果たしています。英語もまた、政府、ビジネス、高等教育などで重要な役割を担っています。
4. 主な産業
パキスタンの経済は、主にサービス業、農業、製造業によって支えられています。サービス業がGDPの約60%を占めており、特に金融、通信、輸送、不動産などの分野が成長しています。農業は、GDPの約23%を占め、労働人口の約39%が従事しています(2022年時点)。主要な農産物は、綿花、小麦、米、サトウキビなどで、特に綿花は重要な輸出品目の一つです。製造業は、GDPの約17%を占めており、繊維産業が最も大きな割合を占めています。その他にも、セメント、肥料、石油製品、食品加工などが主要な製造業分野として挙げられます。
5. 主な観光地
パキスタンには、壮大な自然景観や歴史的な建造物など、多様な観光地が存在します。
■カラコルム・ハイウェイ
世界で最も標高の高い場所を通る道路の一つで、中国との国境であるクンジュラブ峠まで続いています。沿道には、氷河や壮大な山々が広がり、トレッキングや登山愛好家にとって人気のスポットです。
■モヘンジョ・ダーロ
シンド州にある、紀元前2500年頃に栄えたインダス文明の遺跡です。計画的な都市設計や高度な衛生設備など、当時の文明の先進性を示す貴重な歴史的遺産となっています。
■ワガ国境
インドとの国境に位置する場所で、毎日夕方にインドとパキスタンの国境警備隊による国旗降納式が行われます。儀式は多くの観光客を集め、両国の軍事的な伝統と威厳を象徴する光景となっています。
■フンザ渓谷
ギルギット・バルティスタン地方に位置する、美しい自然景観で知られる場所です。雪を冠した山々、氷河、果樹園が織りなす風景は、「桃源郷」とも称されます。
6. 文化
パキスタンの文化は、イスラム教の伝統と、南アジア、中央アジア、中東の文化が融合して形成されています。
■イスラム文化
人々の日常生活や社会規範の中心にイスラム教があり、金曜日の礼拝やイスラムの祝日(イードなど)が重要視されています。また、パキスタンの建築や芸術にも、イスラムの様式が色濃く反映されています。
■民族文化の多様性
パンジャーブ、シンド、パシュトゥーン、バルーチといった各民族グループは、それぞれ独自の言語、音楽、舞踊、祭り、民族衣装を持っています。例えば、シンド州の「アジャク」と呼ばれる伝統的な木版染めの布や、パンジャーブ地方の「ジャンマー」と呼ばれる伝統的な踊りなどがあります。
■食事
パキスタン料理は、香辛料を多用することで知られ、豊かな風味が特徴です。カレー、ビリヤニ、ナン、タンドリーチキンなどが代表的な料理です。地域によっても特徴があり、北部の山岳地帯では肉や乳製品が多く使われる一方、沿岸部では魚介類も食されます。
7. スポーツ
パキスタンで最も人気のあるスポーツはクリケットです。国際的なクリケットの試合は、国民的な熱狂を引き起こします。パキスタン代表チームは、国際的な大会で多くの実績を残しています。フィールドホッケーもまた、歴史的に強い分野であり、夏季オリンピックでメダルを獲得した実績があります。その他、カバディやポロ、スカッシュなども親しまれています。
8. 日本との関係
日本とパキスタンの関係は、歴史的にも経済的にも深いものがあります。
■経済協力
日本はパキスタンの主要な援助国の一つであり、インフラ整備や教育、医療分野などでの開発援助を行ってきました。例えば、カラチの国際空港や水力発電所の建設に日本の技術や資金が貢献しました。
■貿易
日本はパキスタンに対して自動車や機械類を輸出し、パキスタンからは主に繊維製品や綿花、海産物などを日本へ輸出しています。
■人的交流
日本とパキスタンは、留学生の受け入れや文化交流などを通じて人的なつながりを深めています。在日パキスタン人コミュニティも活発な活動を行っています。