「くもがくる/雲隠る」の意味・活用・使用例【ラ行四段活用・ラ行下二段活用】
このテキストでは、古文単語「
くもがくる/雲隠る」の意味、活用、解説とその使用例を記しています。
※「くもがくる」には、
①ラ行四段活用(上代の作品)
②ラ行下二段活用(中古代以降の作品)
の用法がある。時代の変遷で用法は変化したが、意味は同じ。
①ラ行四段活用
未然形 | くもがくら |
連用形 | くもがくり |
終止形 | くもがくる |
連体形 | くもがくる |
已然形 | くもがくれ |
命令形 | くもがくれ |
■意味1:自動詞
雲に隠れて見えなくなる。
[出典]:万葉集 柿本人麻呂
「雲隠る 小島の神の 畏けば 目は隔てども 心隔てや」
[訳]:雲に隠れている小島の神が恐れ多いので、逢わずにいますが、心が離れることがありましょうか、いやありません。
■意味2:自動詞
(身分の高い人の死を婉曲して)
お亡くなりになる。
②ラ行下二段活用
未然形 | くもがくれ |
連用形 | くもがくれ |
終止形 | くもがくる |
連体形 | くもがくるる |
已然形 | くもがくるれ |
命令形 | くもがくれよ |
■意味1:自動詞
雲に隠れて見えなくなる。
[出典]:
百人一首 紫式部
「めぐり逢ひて 見しやそれとも 分かぬ間に
雲隠れにし 夜半の月かな」
[訳]:久しぶりに再び出会ったのに、本当にあなたかどうかもわからないうちに、(あわただしく帰っていってしまいましたね。まるで)
雲に隠れてしまった夜中の月であることよ。
■意味2:自動詞
亡くなる。
[出典]:源氏物語 紫式部
「奈良の上皇は、この秋七月に雲隠れさせたまへば...」
[訳]:奈良の上皇は、この秋の七月に崩御あそばされたので...