インダス川とは
インダス川は、アジアの大河であり、南アジアおよび中央アジアを流れる超ヒマラヤ河川です。全長は約3,180kmに及び、世界最長の河川の一つとされています。インダス川は、チベット高原のマナサロワール湖近くの源泉から始まり、北西に流れ、カシミール地域を横切り、ナンガ・パルバット山塊を回り込んだ後、南西に向かってパキスタンを流れ、カラチ近くのアラビア海に注いでいます。
インダス川の流域は約1,120,000平方キロメートルに及び、その推定年間流量は約243立方キロメートルで、世界で最も流量の多い50の河川の一つです。インダス川の左岸支流には、ラダック地方のザンスカール川や、平野部でのパンジャブ川があります。パンジャブ川は、チェナブ川、ジェヘラム川、ラビ川、ビアス川、サトレジ川という5つのパンジャブ河川の合流によって形成されています。
この河川は、その生物多様性においても豊かで、約25種の両生類が生息しています。特にインダス川イルカ(Platanista indicus minor)は、インダス川にのみ生息する亜種であり、重要な生物学的特徴の一つです。
インダス川は、経済的にも重要な役割を果たしています。川沿いの土地は肥沃であり、農業に適しているため、多くの人々の生活基盤となっています。しかし、近年では気候変動の影響や汚染など、さまざまな問題に直面しています。インダス川デルタは、気候変動による海面上昇の影響を受けやすく、また、河川の上流での水の利用が増えることで、下流の水不足が懸念されています。
また、2010年と2011年には大規模な洪水が発生し、川沿いのコミュニティに甚大な被害をもたらしました。これらの洪水は、気候変動がもたらす極端な気象現象の一例とされています。
インダス川流域は、古代から多くの文明の発展に寄与してきました。紀元前1500年頃に作成されたインド・ヨーロッパ語族の古典であるリグ・ヴェーダにも言及されており、インドの国名の由来ともなっています。