はじめに
このテキストでは、万葉集の第5巻に収録されている「
わがやどの梅の下枝に遊びつつうぐひす鳴くも散らまく惜しみ」(八四二)の現代語訳・口語訳とその解説を記しています。この和歌は、平成の次の元号である「令和」(2019年5月1日〜)の由来となった万葉集『
梅花の歌三十二首并せて序』に収録された32首のうちのひとつです。
原文
(※1)わがやどの 梅の下枝に 遊びつつ うぐひす鳴くも 散ら(※2)まく惜しみ
ひらがなでの読み方
わがやどの うめのしづえに あそびつつ うぐひすなくも ちらまくをしみ
現代語訳
私の庭の梅の下の枝であそびながらうぐいすが鳴いています。(梅の花が)散ろうとすることを惜しみながら
解説
薩摩目高氏海人(=作者未詳)作の歌です。大伴旅人主催の梅花の宴にて詠まれた32首のひとつです。梅花の宴とは文字通り梅の花を題材とした歌を詠む会で、当時太宰府の長官であった大伴旅人を中心に開催されました。そのときに詠まれた32首にはすべて梅の花が含まれています。
単語・文法解説
| (※1)わがやど | 作者の家ではなく、梅花の宴が催された大伴旅人の家と解釈する |
| (※2)まく | 「〜しようとすること」と訳す |